事業アイデア以上に重要となる「After Makuake」で見据える現代消費者への対応
パネルディスカッションは、モデレーターの坊垣氏が、自身のプロフィールとMakuakeの一気通貫モデルに関しての説明から始まった。
坊垣氏は、サイバーエージェントに入社後、子会社の創業期の経営に携わった経歴を持ちマクアケが4社目。そのマクアケも6年目を迎えて、クラウドファンディング「Makuake」のサービス認知度もかなり向上してきているという。Makuakeは現在、月に約1,000件の問い合わせがあり、坊垣氏はプロジェクト化する際のコンサルティングから販促・PRなどを担い、特に現在は、「After Makuake」と称する、クラウドファンディング後の展開強化にも注力している。今回のパネルディスカッションは、「After Makuake」でコラボレーションする小売・流通業界の方々とのパネルディスカッションとなった。
まずは、パネリストのそれぞれの取り組みと小売・流通業界の課題を中心に議論が開催された。
東急ハンズの取締役/執行役員の丹下慎也氏は、1992年に東急不動産に入社し、その後はリゾート開発事業などに従事する。その後、本社に戻り、人事・総務などの業務を経て東急ハンズに出向する。
1976年創業の東急ハンズは、現在は海外含めて54店舗、専門店は21店舗展開しており、たくさんの品揃えと店舗でのコンサルティングセールスを基盤にしている。東急ハンズでの取り扱いのべ商品数(SKU)は90万アイテムあり、店舗では概ね10万アイテムを通常取り扱っている。MDの中心は本部送り込み商品となるが、規模や地域特性に応じて店舗独自で商品導入が可能というのもその特徴である。
マクアケとのコラボレーションでは、全国5店舗に「Makuake SHOP」を展開している。その理由を丹下氏は下記のように語る。
東急ハンズがお客さまに求められていることは「来店するたびに何か新しいものがあるのでは」という期待とワクワク感です。その観点からも、Makuakeのクラウドファンディングの商品は、お客さまの期待に添うものであり、東急ハンズのポリシーとも非常に近いものだったので、渋谷店から開始して、現在、5店舗で展開しています
東急ハンズの丹下氏は小売業の課題を以下のように語る。
現代のお客さまの消費の特徴は、“メリハリ消費”に象徴されています。買い物の時間を節約したり、商品の機能を重視する反面、自分から苦労して商品を探したり、商品の手触り感を重視するような“こだわり消費”を、同じ消費者がサービスや商品によって使い分けています。
東急ハンズとしては、お客さまがどのような消費にフォーカスしていくのかを考え、対応していくことが重要だと思っています