論理思考による正解のコモディティ化を打破する、「妄想する力」を持つテクノプレナーとは?

ゲスト:株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 岡田 陽介氏【後編】

 『テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」』(ダイヤモンド社)の著者である蛯原健氏と、ABEJA代表取締役社長CEOの岡田陽介氏による対談。前編では、グローバルなビジネスで不可欠な天才と変人という存在についての議論がなされた。後編では、そのような人材が活躍できる社会の要件、ABEJAが提唱する「テクノプレナーシップ」の精神と、その中でも特に重要なリベラルアーツの果たす役割について語られた。

[公開日]

[語り手] 岡田 陽介 蛯原 健 [取材・構成] やつづかえり [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] AI・機械学習 事業開発 リベラルアーツ テクノロジー思考

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日本は天才や変人を秀才が支える国? マジョリティがより上にいく国?

蛯原健氏(リブライトパートナーズ 代表取締役、以下 敬称略):前編で岡田さんがおっしゃってた、天才や変人にとってストレスの少ないシリコンバレーのそのカルチャー、それをもう少し因数分解できますか?

岡田陽介氏(株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO、以下敬称略):まず、マジョリティの人たちがマイノリティをどう理解しているのか、で違いが出るように思います。日本はマジョリティの人たちがより上に行けるようなスキームを作っている国だというのが、私の理解なんですけど。

蛯原:全体をボトムアップしよう、という感じですか?

岡田:それもありますし、マイノリティに属する変人や天才が応援されにくい印象があります。日本は、マジョリティに属する秀才たちだけで世界を構成しようとしている。一方でシリコンバレーは、秀才たちが会社の運営を担いつつ、天才と変人にお金も与えて好きにさせていますよね。

 もちろん、世の中で絶対的に重要なのはマジョリティとなる中間層の人々です。彼らがマーケットを作るし、お金も一番持っている。

 その上で、マジョリティが変人や天才を「こいつら、めちゃくちゃすごい!」と評価して、好きなことやらせてみようと考えるのがシリコンバレーの価値観です。お金を持つVCが天才に「とにかくやってみて」とお金を渡し、その天才の周りを秀才の人たちが固め、そこにまた天才が入ってきて、という多層構造がカルチャーを形成しているんです。

 グローバルにおいては、こうしたマジョリティとマイノリティの関係が、国や地域エリアごとの特徴を作っていると思います。

蛯原:大企業がオープン・イノベーションに取り組んでいるのに成功しないのはなぜか、という問いに通じますね。オープン・イノベーションは、変人や天才をどう囲って実験やR&Dに取り組んでもらうか、という話ですから。シリコンバレーにおいて変人に色々やらせるというのは、具体的にはどういう感じなんですか?

岡田:堀江貴文さんのいう「多動力」にイメージが近いのですが、変人って取り組むことのことの振れ幅が大きすぎるんですよ。一日経ったら言っていることも変わるし、「え、どうしたの突然?」みたいなこともすごく多い。それに対して特に理由を求めずにやらせてあげると、その人たちは圧倒的な行動力でどんどん何かをかたちにしていくんです。

蛯原:ジャック・ドーシーがTwitterとSquareを同時に経営していても、イーロン・マスクがロケットと自動車を同時に作っていても、「上場会社の経営者は忠実義務があるだろ、一社に集中しろ!」なんて言わずに「全部やるだけやってみな」と言う、そんな環境のことですね。

岡田陽介株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 岡田 陽介氏
1988年生まれ。愛知県名古屋市出身。10歳からプログラミングをスタート。高校でCGを専攻し、全国高等学校デザイン選手権大会で文部科学大臣賞を受賞。大学在学中、CG関連の国際会議発表多数。その後、ITベンチャー企業を経て、2012年9月、AIの社会実装を手掛ける株式会社ABEJAを起業。2017年には、AI、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指し、他理事とともに設立し、日本ディープラーニング協会理事を務める。2019年10月より、米シリコンバレーの現地法人 ABEJA Technologies, Inc. CEOに就任。

バックナンバー