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ソニー斉藤氏が語る、事業をWHYで考える「想像力」と「良い失敗の条件」──市場を創造する事業とは?

ゲスト:ソニー株式会社 R&Dセンター 事業探索・技術戦略部門 副部門長 斉藤博氏

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WHYで考えるために必要な「想像力」とは

津田:WHYで考えるためには自分の持つ固定観念や常識の枠から抜け出すことが必要ですが、対象となる顧客や業界での常識を知るステップは意識してませんか?

斉藤:その意味での「常識」は徹底的に調査しますね。常識の中身が、どのように暮らしに影響しているか、そのレベルまで常識を想像できるようになることが必要です。私も常識の枠を抜け出しているつもりなのに、実はその枠の中にいた、ということが最初の頃は頻繁にありました。

津田:新規事業の支援をしていても、その業界、そのテーマにおいて何が常識となっているのかを認識していない方が非常に多いと感じます。『繁栄のパラドクス』でも、貧困国で水不足を解消するために井戸を掘ったが、水不足は解消されなかったという事例が紹介されていますね。

 現地の人が、井戸のメンテナンス方法を知らないという「常識」を、援助者が知らなかったために、井戸を作っても無駄になってしまったという話です。課題を抱えている人の「常識」をきちんと把握し、想像することが必要ですよね。「暮らしに影響する」レベルで調査し、想像してから着想しているのが、ソニーさんの成功の大きな秘訣なのではないでしょうか。

斉藤:私はプロダクトやサービスを誰がどんな状況で、どんな感情でどう活用するか、どういう日常生活を送っているのかを具体的に想像することが非常に好きなんです。漫画家や小説家の方と話す機会があるのですが、彼らは登場人物の生い立ちから今何を悩んでいるというところまで徹底的に具体化することで、人物が動き出すと言います。想像する奥行きや具体化のレベルが似ていると感じますね。

津田:それを想像しないでミルクシェイクが売れない理由を考えると「喉が渇いている人がいたら、ミルクシェイクが必要だ」等と考えてしまうんですよね。でも、喉が渇いている人がどんな人かの想像をちゃんと膨らませたら「今はミルクシェイクという気分ではない」などと、よりビビッドに想像できる。その結果、新しい価値を生むことができるんですよね。

 斉藤さんは、イマジネーションを働かせる時にはどのように行ないますか?

斉藤:既存のデータは当然一通り見ますね。でもその数字がなぜそうなっているのか、ということを重視しています。あと、イマジネーションの出発点がどこからかは線引きがしにくいですが、広義のリサーチは普段から行なっています。世の中的になぜこれがこうなっているのかと疑問を持って、その疑問の中からインパクトがありそうで今までとは違う視点で考えられそうなものに関して仮説を立て、調査をしていきます。

津田:同感です。たとえば私なら、ホームスピーカーがなぜ一社独占が起きていないのかを確認します。そこには何かしらの不満が眠っているはずですし。

 市場創造型イノベーションが求められている今、個人がビジネスに直結しないことも含めていろいろなことに疑問や好奇心を持つことは重要ですよね。

津田真吾津田 真吾氏(INDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター)
日本アイ・ビー・エム、日立グローバルストレージテクノロジーズ、iTiDコンサルティングを経て、イノベーションコンサルティングおよびハンズオン事業開発支援に特化したINDEE Japanを設立。HDDの開発エンジニア時代に「イノベーションのジレンマ」に触れ、イノベーションの道を歩み続けることを決意する。その著者であるクレイトン・クリステンセン設立の米国Innosightと提携し、日本代表パートナーとしてグローバルなネットワークを築きつつ、大手企業の社内ベンチャーやベンチャー企業の支援を手掛ける。日本語版『ジョブ理論』解説者。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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