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ソニー斉藤氏が語る、事業をWHYで考える「想像力」と「良い失敗の条件」──市場を創造する事業とは?

ゲスト:ソニー株式会社 R&Dセンター 事業探索・技術戦略部門 副部門長 斉藤博氏

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成功するイントレプレナー、2つのパターンとは

津田:多くの企業の方は、入社3年くらいすると全社戦略に沿わない発想は悪だという価値観が染み付いてしまって、自分の好奇心、自分のリソースすらうまく動かせなくなるようです。自分すら動かせないのに社内をうまく動かせるわけがないですよね。全社戦略がある大企業の中で成功するイントレプレナーの方には2つのパターンがあると思うんです。

斉藤:その2パターン、気になります。

津田:1つ目のパターンは、自分の好奇心・疑問を重要視して、企業戦略に半ば強引に結びつけるパターン。もう1つはサラリーマン社内起業家として、戦略の枠の中から自分の興味のあるものを見つけて新規事業を作るパターンです。

 しかし、ソニーでは、そういった工夫をする必要がないのかもしれませんね。斉藤さんもそうですがソニーの他の社員さんともお会いして、想像力を起点に新規事業を作る企業文化があるのだなと感じました。

斉藤:5年前に新規事業部門の責任者になった時、なぜ社長直轄の部門なのか、既存事業部門でできないことは何だろうかと考えたんです。出た結果は割とシンプルで、ソニーの「自己否定、自己破壊」というものでした。そこで、既存の文脈でできないことをやろうというのがテーマになりました

 新規事業は、既存事業部門からするとツッコミどころ満載で、ダメ出しされることばかりです。それを乗り越えていくのは、自分のモチベーションと熱量しかありません。それがなければ心が折れてしまいますよ。

津田:社長の「スピード感を持つように」という言葉を「プロトタイプとなるプロダクトのリリースや仮説検証のスピードを早めよ」ということだと解釈し、社長直轄の部門であることから「自己否定、自己破壊」を目的にすべきだと解釈する。絶妙な自分ゴト化だと思いますし、熱量を持って仕事にあたるうえで非常に重要だなと感じました。

斉藤:自分自身では、その時々に自然に選択したことなので、自分ゴト化していたのかはわかりません(笑)。

タイトル

津田:ところで、斉藤さんは海外出張が多いと聞きました。出張の目的は、ビジネスチャンスを探すということなのでしょうか。

斉藤:最終的な意味ではそうですね。先日はインドに行きました。新しい価値を生み出すオポチュニティを考える際、どうしても自分の想像の範囲に縛られてしまいます。日本にいると、欧米や先進国、インドや中国にしてもデリーや上海など都市部くらいまでしか想像できないですからね。その意味で、R&D部門にもいろんな国の方に入ってもらっています。

津田:『繁栄のパラドクス』でクリステンセン教授は新興国にポテンシャルがあると伝えたいのだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

斉藤:課題が多くあるので片付いてない顧客のジョブがたくさんありますが、ソリューションの方は一筋縄ではいきませんよね。でも、ポテンシャルは高いと思います。そして、クリステンセン流に言えば、無消費市場に向けての新規事業はほぼ失敗するものです。その前提が、まだ常識になっていないのは気になります。

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新規事業に必要な「成功指標」と「良い失敗の条件」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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