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フロムスクラッチとSmartHRが上場ではなく大型調達を選んだ理由──2019年の大型調達トレンド

 Coral Capitalは、12月13日に「2019年の大型調達トレンドセミナー」を開催した。
 近年世界的に規模が大きくなってきているスタートアップによる資金調達。その背景をCoral Capitalの西村賢氏がスタートアップ企業と機関投資家双方の視点から解説した。また、2019年に約100億円を調達した株式会社フロムスクラッチの矢矧利太郎氏、約61.5億円を調達した株式会社SmartHRの玉木諒氏が登壇し、巨額の資金調達を実施した背景や海外の投資家から調達した意味について語った。

[公開日]

[取材・構成] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

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2019年までを振り返って分かった世界の資金調達“3つの特徴”

 最初に、Coral Capitalパートナー兼編集長の西村賢氏が登壇し、世界と日本におけるスタートアップの資金調達のトレンドについて紹介した。

 2019年末までの世界的なスタートアップの資金調達の特徴として、西村氏は以下の3点を挙げた。

  • VCファンドの大型化
  • スタートアップ企業の調達ラウンドの大型化
  • 2019年後半からの調整局面

 2019年の7月に約12兆円規模として設立が発表されたソフトバンク・ビジョン・ファンドの2号ファンドを象徴として、VCファンドの規模は年々大型化している。2009年には「マイクロファンド」と呼ばれる5000万ドル規模のファンドが約半数を占めていたが、2019年には約30%まで下がっている。その代わり1億ドル以上のファンドが増えてきているのだ。実際、アメリカを代表する老舗ベンチャーキャピタルであるセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)は、ファンド組成額が2007年の3億ドルから2018年には76億ドルと、規模を拡大している。

米国VCファンドの大型化

 それと対をなすように、スタートアップ企業の大型資金調達も増加傾向にあるという。2013年には36件だった1ラウンドでの1億ドル以上の調達が、2018年には207件、2019年も200件を超えるペースで資金調達がなされているのだ。2013年といえば、UberがGoogle Venturesから2億5800万ドルを調達して大きな話題となった年。そこから資金調達が巨大化していったのが2019年までのトレンドなのだと話す。

スタートアップの大型資金調達の数が増加傾向

 しかし、VCの投資/スタートアップ企業の資金調達の大型化は、2019年後半から調整局面に入ったのだという。その象徴的な2つの例がWeWorkを運営するThe We Companyの上場延期と、Uber Technologiesの株価低迷だと西村氏は話す。一時は470億ドルとみられていたThe We Companyの企業評価額は80億ドル以下まで縮小し、9月に予定していたIPOも延期された。2019年最大のIPOとして5月に上場したUber Technologiesも、1株45ドルで公開されたものの初値が42ドル、一時は30ドルを切るほどまで落ち込み、その後は30ドル前後で推移している。

 西村氏は、この調整局面に入った理由として“テック企業”という言葉が期待されすぎていた点を挙げた。“テック企業”とされると無条件に市場から高く評価される傾向にあったものが、ビジネスモデルのスケーラビリティをより厳密にみられるようになったのだという。ただ、あくまでも調整局面であり、投資/調達の大型化は変わらないのではないかと話した。

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