近年、ESG投資に代表されるように、事業の社会的意義や成長の持続性など、財務指標以外の指標に着目し、それらの評価が高い企業に投資する手法が広がりを見せてきている。このような非財務指標の中にはブランド力を表すものがあると考えられおり、またブランド力には、企業の業績や成長力のみならず、企業価値全体とも関連性があるとの研究結果も報告されているのだという。
ECSは、Sansanが独自開発した、企業と企業のつながりのあるステークホルダーとのエンゲージメント(会社や製品・サービスに対する信頼や愛着などの関係性の深さ)を定量測定した指標。この指標は、Sansanが提供する名刺アプリEightのユーザーの中から、調査対象企業名刺を保有するユーザーにアンケートを実施し、数値化したものであり、企業によるブランド施策の効果測定などに活用されている。
これまでSansanとNAMは、ECSと企業パフォーマンスの関連について、予備的な研究によって検証を行ってきた。今後両社は、ECSや財務指標等のデータについて、最先端の情報処理技術を用いてさらに詳細な分析を行い、これを活用した投資インデックスの開発を目指すとしている。NAMは、この投資インデックスを資産運用の領域で活用することにより、高いブランド力を持ち、多様なステークホルダーとウィン・ウィンの関係にある企業を投資先として高く評価する運用が広がることを期待しているのだという。またSansanでは、今回の共同研究によって、幅広いステークホルダーから評価されている企業の、成長性や持続可能性を明らかにすること、また、企業が自社のブランドや評判を適切にマネジメントできるような、指標と知見を提供することなど、有意義な成果が期待できると考えていると語る。