コロナ禍で変わる消費者行動と心理、そのニューノーマルを捉える必要性
コロナ禍で、消費者の行動や意識が大きく変わっている。その変化で生まれる新しい欲求と企業やブランドが提供する価値にギャップが生じると、ビジネスは縮小へ向かう。いま、進められている事業やブランド、製品・プロモーションの戦略を、消費者理解から点検すべき時だという。
消費者の行動や意識の変化は、心の共感スイッチや非共感ポイントも変化させている。デコムの共感研究で「消費者が求めているが実現できていない願望」が、共感を生みだす原動力になっていることが分かっているとしている。その心の琴線を上手く捉えなければ、製品やプロモーションは不発に終わってしまうだけなく、嫌悪感を生んでしまうこともある。
短期間に大量の定性情報(n=1)を収集する、オンライン調査手法を活用
デコムでは、いま消費者が求めているが十分に充たされていない欲求を理解するために、多種多様な消費者行動の事実をオンラインで1005件収集。生活領域を網羅的に調査するために、デコムが定義する“いま人がお金と時間を使う14の生活領域”のフレームも活用している。収集した1005件の“コロナで変わる消費者行動(n=1)”から抽出した210件を分析することで、20の共感スイッチと非共感ポイントが明らかになったとしている。
具体的には、コロナ禍で変わった生活行動に関して、人はいつどんなときに(シーン)/どのような要因によって(ドライバー)/どのような感情を伴う価値や不満を感じて(エモーション)/その背景にはどんな生活や価値観があるか?(バックグラウンド)といったインサイト4要素について分析を実施したとしている。
20に体系化されたWith/Afterコロナにおける、共感と非共感の消費者インサイト
20に体系化された共感と非共感の消費者インサイトは、次の情報で構成されている。
- 消費キーワード:ニューノーマルにおけるビジネス(マーケティング)機会
- 共感スイッチ:企業が応えるべき消費者の欲求
- 非共感ポイント:企業が感じさせてはいけないこと
- 代表する消費者事象(n=1)とイメージビジュアル:この消費キーワードを象徴する具体的な消費者の行動
- Beforeコロナの価値:変化を理解するための従前の価値
- WithコロナまたはWith/Afterコロナの価値:ニューノーマルにおいて着目すべき価値
共感と非共感の消費者インサイトのサンプル1:失われた五感回復消費
- 共感スイッチ:デリバリーやオンラインで得られない、リッチな五感を楽しみたい
- 代表する消費者事象(n=1):好きな物を好きなだけ食べることができるケーキバイキングに行けなくなったので、自分で週末ごとにホールケーキを作り、その甘い匂いに包まれて幸せを感じている。家事や子育てで忙しく、ゆっくり食事もできない日常のストレスを、これまではバイキングでたくさん食べることで発散していた。(女性/33歳/沖縄県/既婚/子供2人/専業主婦/世帯年収1000万円以上)
- 非共感ポイント:ライブ感やシズルなどの五感が乏しい
- Beforeコロナの価値:リッチな五感を当たり前のものとして普通に受け容れる
- WithコロナまたはWith/Afterコロナの価値:抑えられてきたリッチな五感をより強く求める
共感と非共感の消費者インサイトのサンプル2:ソーシャルエクスキューズ消費
- 共感スイッチ:社会的エクスキューズを盾にして、わがままにやりたい
- 代表する消費者事象(n=1):仲間とウォーキングをする時に、他の人から危機感のない人と思われないようにいつものコースを出発点から逆回りに歩いてゴールで合流するように変えた。自粛して社会的な責任を果たしている、人から攻められることもないという安心感を持ちつつ、目の前の自分の欲求を充たすことができる。(女性/63歳/広島県/既婚/子供3人/専業主婦/世帯年収400万~550万円未満)
- 非共感ポイント:隠れ蓑が無く、自分の強欲があからさまになる
- Beforeコロナの価値:単に自分にメリットがある
- WithコロナまたはWith/Afterコロナの価値:社会的なエクスキューズを盾にできる