アクセンチュアは、最新の調査レポート「Accenture Global Buyer Values Study」において、日本を含む12カ国で、化学材料メーカー、産業用製品のバイヤー、小売業者、および消費者を含む2,205名を対象に調査を行った。調査の結果、ほとんどのバイヤーが購入先を他社に乗り換えるという選択肢を持っていることにより、サプライヤーは競合他社に顧客を奪われる危機感を抱いていることが判明。例えば、バイヤーの55%は「プラスチックの代わりに金属を使用するなど、化学材料以外も含めて、別の素材に切り替える可能性がある」と答えた。
化学企業およびサプライヤーの46%が、「需要予測などによって顧客を最優先した施策を打っているものの徹底ができておらず、競合他社に顧客を奪われる危機感を持っている」と回答していることが分かった。一方、サプライヤーの66%は「最新テクノロジーをより広範に取り入れ、顧客中心主義を徹底すれば、収益を10%以上拡大できる」と回答し、35%は「20%以上拡大できる」と回答。
本レポートでは、バイヤーや消費者のニーズと、化学企業が想定している顧客ニーズのギャップによって、顧客離反のリスクが高まることに警鐘を鳴らしている。
バイヤーや消費者のニーズと、化学企業が想定している顧客ニーズのギャップ
- 「材料の安全性」や「製品の耐久性」を挙げている。一方、化学企業は、消費者やバイヤーが「再生可能エネルギー向けの材料・ソリューション」や「リサイクル可能な製品」であることを最も重視していると考えている。
- 化学企業は、バイヤーに比べて「高付加価値のサービス」を重視する傾向があり、これは、バイヤーが必ずしも重視しない価値に対して、化学企業が優先して取り組んでいることを意味している。
- バイヤーや消費者は、化学企業の想定以上に「流通や配送の信頼性」を重視している。
本調査によって、化学企業の99%が「顧客中心主義を徹底するために、アナリティクスやロボティクスといった先端テクノロジーを少なくとも1つは活用している」ことが判明。一方、このためには精度の高いデータが必要となるが、化学企業の74%が「データの欠損や精度の低いデータが多すぎる、もしくはデータが少なすぎるといった課題がある」と回答している。
調査方法
アクセンチュアの「Global Buyer Values Study」は、化学業界における顧客ニーズと、化学企業の対応状況を調査することで、同業界における顧客中心主義の浸透度を把握することを目的としている。調査は、14種類の製品特性について、バイヤーにもたらされる74種類の価値を優先付けするための分析と、標準的な調査の2部構成で実施。回答者は、材料サプライヤーの経営幹部345名(うち約100名は化学またはプラスチックサプライヤー)、産業用製品のバイヤー760名(15業界)、小売業者100名のほか、化学業界に影響を及ぼしうるエンドユーザーの購買嗜好を調査するため、消費者1,000名で構成された。調査対象国は、日本、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、オランダ、韓国、スペイン、英国、米国の12カ国。