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ベンチャースタジオを活用したオープンイノベーション──三菱倉庫、大林組などが語る、新たな“可能性”

「01Booster Conference 2024」レポート

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 オープンイノベーションの新たな形態として、ベンチャースタジオへの注目が高まっている。2024年12月に開催された日本最大級の新事業創造カンファレンス「01Booster Conference 2024」では、MLCベンチャーズ株式会社 投資部 部長 関本峻治氏と、株式会社日本海ラボ オープンイノベーション推進チーム ディレクター 高田信一朗氏、特種東海製紙株式会社 資源再活用本部 事業開発部 主幹 野田弘之氏、株式会社大林組 土木本部 先端技術推進室 技術開発部 湯淺知英氏が、オープンイノベーションにおけるこれまでの取り組みを紹介。その過程で立ちはだかった課題と、ベンチャースタジオに寄せる期待について語り合った。モデレーターは、株式会社ゼロワンブースター 01Booster Studio 責任者 丸山有弥氏が務めた。

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VCでもアクセラレーターでもない「ベンチャースタジオ」とは

 オープンイノベーションに取り組む企業が増える一方で、「自社に合うスタートアップが少ない」「事業の開発・成長スピードが遅い」といった課題も聞かれるようになった。そんな中、オープンイノベーションの新たな形態として国内外で注目され始めているのが、ベンチャースタジオだ。

 ゼロワンブースターの丸山氏は、スタートアップ・起業家の支援者が集まるグローバルコミュニティ「Morrow」の定義を借り、ベンチャースタジオを「ベンチャー企業構築のプレイブック(≒成功体験)を使う集中管理型サービス組織のノウハウを活用しながら、ベンチャー企業への投資と構築リソース投下を積極的に行う組織的な共同創業者」と定義する。

 ベンチャースタジオは、事業アイデアの創出フェーズから支援するという点で、創業済みのスタートアップを支援するVCやアクセラレーターとは一線を画す。丸山氏によれば、創業前からの外部支援により成功確度の高いスタートアップが生まれるためか、ベンチャースタジオの支援を受けたスタートアップは、資金調達に至るまでの期間が短期化し、IRR(内部収益率)も高くなったというデータがあるという。その結果、現在ではVCやアクセラレーターから、ベンチャースタジオに転向するケースも見られるようになった。

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 ベンチャースタジオの先駆けとなったのは、1996年に米国で設立されたIdealabだ。1999年に米国で設立されたFlagship Pioneeringからは、新型コロナワクチンで有名になったModernaが誕生している。

 その後も数多くのベンチャースタジオが誕生する中で、丸山氏は「Morrow」での議論をもとに、4つのタイプを提示した。その中でも多いのが、スタジオ創業者がCEOと新規事業開発を兼務し、ある段階で別の起業家に事業を引き継ぐ「FOUNDER STUDIO」と、スタジオが起業家を外部から雇い入れ、スタジオ内でのインキュベーションを経てスピンアウトする「Co-FOUNDER STUDIO」、起業家のスタートアップ立ち上げを外部から支援する「CATALYST STUDIO」の3つで、丸山氏が責任者を務める「01Booster Studio」は「CATALYST STUDIO」にあたるという。

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 そして、ゼロワンブースターは、東京都の「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業」における協定事業者として、スタートアップ創業を支援する「STUDIO 10X」を開始することになったと丸山氏。パートナーの大手企業に課題探索や仮説検証、専門知識、専門人脈といったリソースを提供してもらいながら、起業志望者の事業アイデア創出からインタビュー・MVPによる仮説検証、事業計画策定、有償顧客獲得までを、半年から9ヵ月ほどのスパンで支援する。

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 「STUDIO 10X」における最大の特徴は、建設、環境、まちづくり・不動産、物流の業界に特化していること。スタートアップや支援者の数が少なく、仮説検証や実証の障壁が高いため、オープンイノベーションが起こりにくいとされている業界だが、だからこそスタートアップを創出する環境作りが重要だと丸山氏は強調する。

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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