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製造業で進む“as a Service”化とは──リコーら4社が語るサブスクリプションモデルへの転換

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グローバルで販売網を持つからこそ直面する課題

 では、リコーのサブスクリプションビジネスへの挑戦はどのように進んだのだろうか。

 堀場氏によると、サブスクリプションへの挑戦は2017年から始まり、3年かけてサービス拡大を図るまでに至ったが、最初の社内整合には苦戦していたという。リコーには販売会社とその先の支社、オペレーションカンパニー(OpCo)、ディーラー、販売店が存在するが、それぞれで異なる反応があったのだ。

 「まず経営トップはポジティブ、グローバルITはネガティブ、開発部門は微妙という反応でした。また、国内販売会社はポジティブ、海外販売会社は非常にネガティブ、販売会社のIT部門もネガティブな反応です。支社やOpCoは、『やりたいけど自力では無理』という状況。ディーラーはやはり今までの“モノ売り”の考え方が根強く、安価なサービスを積み上げていくという点に関して、事業インパクトがないなどの理由で8割以上がネガティブでした」と堀場氏は当時を振り返る。

グローバル展開において直面した課題

 また、堀場氏は「なぜサブスクリプションをやるのか、きちんと消化して乗り越えていかなくては、社内はもちろんお客様に対しても理解を得られず、ビジネスとして進んでいかないということを我々は経験してきました」とも語った。

 続いて、サブスクリプションを浸透させるために実際に取り組んだこととして、大きく以下の6つを挙げる。

  • 経営トップの理解を得る:経営課題として認識してもらう、新しい経営管理指標を設定する
  • 小さく早く始める:3ヵ月でZuora連携して極(グローバル各地域の販売会社)へリリース、オーダーエントリーのしやすさに配慮、請回収はハンド運用でバッチ処理
  • 仲間を増やす:プロジェクトメンバーの一体感を醸成する、ネガティブ要因は推進側で受けて解決する、キーパーソンを徹底的にサポートする
  • 事例の水平展開:成功事例を展開する、各極のキーパーソン同士で議論してもらう、他極のサービスを活用する
  • データで示す:データから客観的に納得感を醸成する、データ分析で販売の現場を支援する、毎月レポートを発信する
  • 言い続ける:サブスクリプションを正しく理解してもらう、既存ビジネスを許容する、折れない心を持つ

 これらを実践してきたことで、極ごとにサブスクリプションの成熟度が高まってきた。日本と北米ではサブスクリプションモデルでの展開が始まっており、データ活用によるビジネスプロセスのDXが加速してきている。また、欧州はまだサブスクリプションモデルに転換していないが、サービス契約の約20%を占める1年売切りモデルの離脱防止に労力をかけており、サブスクリプションへの転換を検討しているという。このようにグローバルで成熟している背景には、世界各国の通貨や商習慣、決済に対応できたり、グローバル共通基盤としてスケーラビリティを備えたりしているZuoraのプラットフォームがあるからだと堀場氏は説明した。

 今回の新型コロナの影響により、特に海外ではロックダウンの状況も受けて販売数と利用率はともに下がり、売り上げは4〜6月で32%ダウンした。その一方、サブスクリプション型サービスは同じような傾向を受けて数字は下がっているものの、テレワークに利用できるFAX転送のサービスなど、コロナ禍においても右肩上がりの商品はあったという。

 アフターコロナを見据えた変革として、リコーは「OAメーカーからデジタルサービスの会社へ生まれ変わる」と宣言している。たとえば、先日国内で発売した「RICOHコンテンツ活用&業務効率化サービス(Docuware)」では、請求書をスキャナや複合機で取り込むと必要な情報を自動的に抽出し、発注書との照合も自動化できる。そして、移動中でもスマートフォンやタブレットでデジタル化された承認ワークフローを素早く回すことができる。

 堀場氏は、「リコーは働く場所をオフィスだけに限定せずに、ホームや現場も含めた新しい働き方にマッチしたデジタルワークプレイスの構築をITインフラやITサービスで支えます。また、その業務について徹底的にデジタルを活用して、効率化、省力化して、知的創造を高めていくような新しい働き方の実現を支援していきます。そしてリコーが掲げる『“はたらく”に歓びを』というビジョンをお客様に与える会社に生まれ変わっていきます」と語り、講演を締めくくった。

 サブスクリプション管理プラットフォームのリーディングプロバイダであるZuoraについて、より詳しく知りたい方はWebサイトをご覧ください。

 Zuoraのサービスに関するお問い合わせはこちらまでご連絡ください。

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この記事の著者

比惠島 由理子(ヒエジマ ユリコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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