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ジョブ型人材マネジメントとは

ジョブ型人材マネジメントから考えるキャリア形成──「ノコギリ型キャリア」と 「ナタ型キャリア」とは?

第2回

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 前回は、現在注目される「ジョブ型人材マネジメント」と同様な取り組みが過去にもあったことに触れた。現在注目される「ジョブ型」の取り組みと大きく異なることを示し、そのポイントが「採用からのジョブ型へのシフト」であることを共有した。ジョブベースでの採用により、すべての人材マネジメントがシームレスにジョブ型になり、ジョブ型が本格化し定着する可能性が高いのが特徴だ。  今回は、ジョブ型人材マネジメントへ移行する過程で起こりうるビジネスパーソンのキャリアへの影響を中心に解説したい。具体的には採用・異動・育成/開発について、ジョブ(職務)を限定しない「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の対比で整理する。

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人材マネジメントの大きなテーマは「専門性の向上」

 人事コンサルタントとして人材マネジメントのプロジェクトに関わるなかで、業種・業態や組織規模に関係なく共通するテーマがある。それは「社員の専門性向上」である。なぜ専門性が注目されるかといえば、VUCAと呼ばれる環境下で社員が自律的にOODA(観察→判断→意思決定→実行)ループを回し、職務を遂行する期待・ニーズが高まっているという背景があるからだ。社員が専門性を発揮した先に求めるものは、「新たなチャレンジ」や「イノベーション」、「付加価値の創出・クリエーション」や「ブレークスルー」などだろう。

行動の量と質が必ずしも業績につながらない時代

 この専門性向上を重視する背景を整理してみよう。職務(ジョブ)を限定しない採用・異動・育成/開発、つまり「メンバーシップ型」が有効に機能する条件とは何か。筆者が真っ先に思いつくのは、下図のような「前例・事例や盤石な仕組み」の存在である。職務(ジョブ)に関する専門性があまり高くなくても、前例や仕組みに沿って行動の量を増やし、質を高めることで着実に業績に結びつくのである。

ジョブ型人材マネジメント

 成果主義は「Pay for Performance」を日本語訳したものだが、日本での成果主義は「Pay for Perspiration」(頑張った汗への報酬)と揶揄されることがある。しかし、上の構図の通り、行動の量が業績に直結するのであれば、頑張りへの処遇は合理的な方法であるともいえる。

知識とスキル、経験が業績につながる時代

 急速なIT化やグローバル化により、「前例・事例」の繰り返し業務はRPAなどにより自動化され、リジットな仕組みも驚くほど早く陳腐化する。行動の量がだんだんと業績に結びつかなくなっているのは、多くの企業や事業における実態として共感されるであろう。

 結果、社員一人ひとりの専門性が人材マネジメントの大きなテーマとして焦点があたることになる。拠り所となる「前例・事例」や「盤石な仕組み」が脆弱化するなかで、下図のように、個々の社員の持つ「知識・スキル・経験」が起点となるという考え方だ。

ジョブ型人材マネジメント

 とりわけ、テック系人材のジョブの多くは、専門性(スキル・知識・経験)の有無やレベルにより、大きく成果・結果が左右される。人材の専門性の勝負といっても過言ではない。さらに、新たな仕組みや製品・サービスの開発の上でも、起点となるスキル・知識・経験のレベルが必須となる。

 

 次頁から、この専門性を中心としたキャリアについて、「メンバーシップ型」と「ジョブ型」に分けて整理してみよう。

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この記事の著者

山田 義一(ヤマダ ヨシカズ)

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