この調査では、大手法人における給与デジタル払いの検討状況、ならびに想定されるメリットや懸念点についてアンケートを実施した。
調査結果
設問1の「給与のデジタル払いが解禁になった場合、利用を検討しますか」では、給与デジタル払いを検討(予定含む)する法人は26.3%という結果だった。一方、「検討していないし利用の予定もない」法人は72.9%と、大多数を占めた。「既に検討していて利用予定」「検討しているが利用しない予定」と回答したのは、247法人中それぞれ1法人のみだった。
想定される利用の目的については、「銀行振込手数料の削減」が55.2%で最も多く、次いで「従業員への便益」が47.8%、「イシュアー(デジタル通貨発行元)からのポイント付与による従業員への還元」が22.4%という結果だった。その他の回答として、銀行口座を持たない外国籍社員への支払いが便利になるという声も上がっている。
デジタル払いの想定対象者は「希望者」が61.3%で最も多く、「全従業員」はその半数以下の27.4%だった。「その他」の回答には、「アルバイトのみ」「国内口座を持たない外国籍社員」等、利用対象を絞るという声も見受けられた。
デジタルで受け取った給与の現金化にかかる手数料については、61.1%が「従業員がすべて負担する」を選択した。デジタル払いを実施する最も多い目的が「振込手数料削減」であることを踏まえると、新たなコストをかけることに対しては消極的な結果になったと推測している。
給与デジタル払い実施の障壁は、「システムインフラの投資コスト」が63.2%と最も回答が多く、次いで60.0%で「担当者の対応工数」が続いた。「システム的・人的コストに見合うメリットがあるか」が実施検討の論点になると想定されている。また、デジタルマネーの利用に対し、セキュリティーや業者破綻時の補償について懸念の声が上がっている。