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製造業DXのススメ

事例で学ぶ、製造業の業務プロセスを大きく変えるAI活用

第4回

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 前回は、人手不足の課題に直面している製造現場で、「人」が行っている作業を支援するデジタル技術を紹介しました。今回は、製造業における生産性および品質の向上と経営上あるいは業務上の意思決定を、AI(人工知能)が補完または代替することで生み出される効果について解説していきます。

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AIとの親和性が高い製造業の業務プロセス

 多様化する消費者ニーズとその変化の速度に対応していくためには、設計、開発、生産、パイロットなどのプロセスを通して質の高い製品を生産し、可能な限り短い期間で市場投入する能力が求められます。それらの能力を補完できるテクノロジーのひとつがAI(人工知能)です。

 AIは膨大なデータを効率的かつ効果的に処理し、スマートなモデルの構築に大きな力を発揮します。さらに、AIとクラウドベースのアーキテクチャを組み合わせることで、どこからでも迅速に業務に関するナレッジにアクセスできるようになり、製造業全体にアジャイルな適応力がもたらされるとともに、クラウドを利用することでシステム運用コストを抑えることができます。

 コンピューター支援エンジニアリング(CAE)の分野でも、データドリブン技術のAI/ML(機械学習)/DL(深層学習)とIoTなどのテクノロジーを組み合わせることでモデルベースの機能が拡大し、複雑なシミュレーションが可能になりました。

 膨大かつ多様なデータが増え続ける一方で、経験豊富なデータサイエンティストや設計者が不足している企業も増えてきています。そのような企業でも、AI/ML/DLを活用することで、IoTデバイスからリアルタイムに収集される生産データ、製品の使用状況、顧客体験などの多様なデータを使用して、製品の設計、開発、生産からアフターセールスまで製品のライフサイクルとバリューチェーン全体にわたって業務プロセスを簡素化し効率化することができます。

 AIは、人間の知能を表現する試みとして、機械やシステムにタスクを実行させるという広義な概念および技術であるのに対し、MLは、AIのサブセットで、データから規則性や関連性を見つけて予測や判断を行います。具体的には、データサイエンティストが目標やタスクを設定し、膨大なデータを使用してMLモデルに継続的に学習させることで、MLは情報の流れをリアルタイムに管理しながら新たなルールを模索し学習していきます。それによって、データの分析精度を飛躍的に向上させています。

 DLはMLのサブセットで、多層構造のニューラルネットワークを使用して膨大なデータから特徴を抽出します。学習によって音声認識や画像認識などのタスクも実行することができます。DLでは、より多くのパラメータを持つ(すなわち、自由度の高い)極めて複雑なパターンをモデル化できます。また、直接生データ(RAWデータ)から学習し、自動調整や再利用もできるため、データサイエンティストの作業工数を大幅に削減することができます。

 製造業の業務プロセスにおけるAIの活用用途をご紹介します。

  • 予知保全:自動シナリオモデリング、レコメンド機能、予測システムなど。AIが多様なデータセットからパターンを見つけ出し、未来の傾向や結果を予測します。膨大な情報を迅速に処理できるためタイムリーな予測が可能になります。
  • ナレッジ仮想化:自然言語生成、診断エキスパートシステムなど。専門家のナレッジデータベースの活用パターンを学習したAIでナレッジ管理することで、利用者は専門家の行動に近いナレッジ活用ができるようになります。
  • ロボット/ドローン:AIを搭載したスマートロボットやスマートドローン。AIはあらかじめ人間が定義した情報、またはAI自身が学習した情報に基づいて機械を動かすことができます。繰り返される傾向を分析し、特定したパターンに基づきシステムに操作を指示します。
  • 品質およびコスト管理:画像認識技術による品質検査支援、ロボットによる組立ライン管理など。たとえば品質検査支援では、品質検査の一部の評価プロセスにAIによる製品画像を使用した品質評価を組み込むことで、評価判定の標準化と生産効率の向上が期待できます。
  • 故障/不具合分析: IoTデバイスから送られてくるセンサーデータとコンピュータービジョンに基づく検査を組み合わせてMLモデルを学習させることで、欠陥検出作業を最適化することができます。さらに関連するシステムを学習させることでリアルタイム分析も行えます。

 次のページからは具体的なAIの活用事例をご紹介していきます。

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この記事の著者

志田 穣(シダ ミノル)

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