DXに踏み込めない企業が抱える課題
これまで6回にわたり、製造業におけるDXの様々な側面とそれらがもたらす効果について紹介してきました。連載を簡単に振り返ってみましょう。
2000年以降、劇的に変化した国際情勢や人口動態、急速な技術進展をうけて、多くの産業でDXが加速しました。その結果、センサーを活用して品質不良を効率的に検知しコストを削減する、生産現場の技術伝承にVRを活用するなど、多くのDX事例が登場しています。また、AIやロボティクスのようなテクノロジーが設計・生産・物流のDX化に有用で、たとえばRobot-as-a-Serviceにより、多くの企業でロボットの活用が進み、製造業の効率化が大きく進んだことにも触れました。さらに、循環型のサステナブルな社会を実現するにあたってDXが不可欠であることも説明しました。
このようにテクノロジーによって様々な領域が効率化、高度化されており、今後もさらなる取り組みが期待されます。一方、いざ自社でDXを実践しようとすると、様々な課題が顕在化して頓挫するケースも多く見られます。DXに踏み込めない企業には以下のような課題があるのではないでしょうか。
- デジタル変革のゴールと戦略が不明瞭
- リソース(カネ・ヒト)確保と意思決定の遅さ
- 顧客志向・デザイン思考・アジャイル開発など、未知のアプローチに対する不安や抵抗感
- 部門内のデータがサイロ化されてシステム接続性が悪く、全体最適の実現が困難
- 新たなアイデアを創出するための人材獲得・スキル維持が困難
- スタートアップ/パートナーなど外部とのオープンな連携ノウハウの欠如
こうした課題を克服してDXを推進させるためには、以下の4つの“P”に取り組むことが欠かせません。
- Philosophy:本質的なDXビジョン・戦略を立案
- Process:DXを効果的に推進する方法論を活用し推進力・結果品質を確保
- People:デジタル時代の尖った人材の育成・獲得
- Place:コミュニケーションの場・プラットフォーム・ソリューションの活用
次のページからはそれぞれを解説していきます。