本研究開発により、ビッグデータ基盤のデータベースエンジンにおける処理方式を、エネルギー効率最適化の視点で抜本的に変更することで、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を実現したとしている。成果の具体的な内容は以下。
精密性能・消費電力モデルの構築と高度制御手法の確立
データベースエンジン内のストレージにおける、アクセスされていない領域の電源をオフにし、必要な際に遅延なくアクセスが可能なほか、電源管理に必要となる精密モデルと、それを基にした電源管理機構を開発しデータベースエンジンに適用。また、省エネルギー化の観点から最適なハードウェアの電源制御を定義し、データへの問い合わせ実行中に最適なデータベースアクセスを判断する、動的問合せ最適化方式を確立したという。
商用利用を想定した省エネルギー型データベースエンジンの設計と実装
商用利用を想定して開発したデータベースエンジンを実装し、それを活用して消費電力のピークカット機能などを設計・実装したとしている。
また、これらの商用利用を想定した効果検証として、鉱山露天掘りの機器稼働管理IoTシステムを模した実証実験を実施。実証実験では、鉱石を積み込むトラックに設置したセンサーから2週間分の積載量データを取得し、データ分析処理におけるエネルギー効率の評価を行った結果、従来型のデータベースエンジンと比較し、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を確認したという。これにより、データ分析処理の省エネ化を実現したとしている。
両社は今後、ビッグデータの活用による社会課題・経営課題の解決と、環境負荷の低減を両立するコンピューティング技術の1つとして、本技術を活用した省エネルギー型ビッグデータ基盤の実用化を目指すとしている。