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事業開発、組織変革のためのフィールドリサーチ

事業開発と組織開発に活用する「フィールドワーク」──同時性・同所性から解放された新潮流とは?

第2回

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 フィールドワークの概要については前回すでにお伝えしたので、ここでは事業開発と組織開発という2つの異なる目的のために、読者のみなさんが今日からでも実践できるようポイントをお伝えしたいと思います。また、そうは言ってもコロナ禍の今、人や場を直接観察するのは難しいという方も多いと思いますので、少し専門的な内容にはなりますが、最後にデータのフィールドワークの活用方法についても触れることにします。

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事業開発のためのフィールドワークとは

 フィールドワークは、事業開発の文脈では当該事業の(潜在)顧客を対象に調査を行うのが基本です。

 新規事業開発において、一般的な知見や統計データから演繹してビジネスを構想するのはファーストステップとしては間違っていませんが、マーケットデータから割り出したターゲット顧客の属性(年齢・性別・年収など)やアンケート結果などから、即事業化につながるようなペイン(Pain)やゲイン(Gain)が得られることはほとんどありません。

 会議室にこもって事業アイデアを練っている人が行き詰まりを感じたとすれば、データやデスクリサーチが不足しているからではなく、単純に「ターゲット顧客について実はよくわかっていない」ということが考えられます。

 例えば、こういう考え方をしていませんか?

  • ファクト1:日本は少子高齢化が進んでいる
  • ファクト2:若者と比べてシニア層のほうがお金を持っている

 そこから、以下のような結論を導き出したとします。

シニア層向けの高価格商品を作れば儲かるに違いない。65歳以上の国内人口は3,640万人(2021年9月時点推計)だから、もし5,000円の商品をシニア層の半数が買ってくれれば……。

 これはさすがに雑すぎる例ですが、実際に事業開発を担当している方と話すと、こういう風にマーケットデータから“ロジカルに”導き出した仮説を大上段に掲げていることは少なくありません。そして、「あなたの60代のお母さんはそれを5,000円で買うと思いますか?」「65歳と80歳では15歳も違いますが、同じものを買うのでしょうか?」といった素朴な問いかけに対しては、「どうだろう」と答えに窮することも珍しくありません。マクロな目線でマーケットを分析することはもちろん重要ですが、それが足かせとなって身近でリアルな事象が見えなくなってしまうのは危険です。

フィールドワーク

 常日頃から実家や街なかで人々を観察していれば、ターゲット顧客に関するこうした疑問は自然に浮かんできて、かつ答えられるようになっていきます。自分でやってみる場合、対象者の発言を必ずしも鵜呑みにせず、行動や表情もしっかり確認することを心がけてください。

 ちなみに、こういう話をすると、「具体的に考えすぎるとカバーできるマーケットが小さくなる」と反論する人がいますが、目の前の一人にも刺さらない物がどこかにいる多くの人々に刺さるというのはちょっと不遜な考えではないでしょうか。そう思うのであれば、バッチリ刺さる人を一人でも探してきて、その人がどんな人で、なぜ刺さるのかを徹底的に“解剖”していくべきです。

 事業開発の文脈におけるフィールドワークは、このように非常に具体的な目線でもって対象顧客を観察することを通じて、彼ら/彼女らがどんな人で、何を欲しているかを「リアルに想像できるようになる」ことを目指します。

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この記事の著者

大川内 直子(オオカワチ ナオコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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