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なぜビジネスモデル変革が進まないのか?

『ホワイトスペース戦略』

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ビジネスモデル変革を阻む「2つの問題」とは?

 ビジネスモデルを捉えるには顧客価値提案・利益方程式・主要業務プロセス・主要経営資源という4つの要素による枠組みで把握します。9つの枠でできているビジネスモデルキャンバスよりはシンプルですが、意味は変わりません。根幹になるのが顧客価値提案という点を含め、考え方も同じです。

ビジネスモデルを捉える4つの要素▲図表2 ビジネスモデルを捉える4つの要素

 ここで、競争の基準が変わるということを考えると、顧客価値提案の変化と同義であることに気づきます。さらに、前もって価値提案するためには、未解決の顧客課題に対する洞察が必要です。ジョブ、つまりそもそも顧客がやりたい用事は何か、という観点で顧客を理解しなくてはなりません。このあたりはシリーズ図書の『イノベーションへの解』にも詳しく解説されていますし、「JOBSメソッド」として解説したこちらの拙記事をご参考にしてみてください。

 実際は、技術主導型の企業にとって、急に顧客の価値を考えろと言っても無理があります。顧客から最も遠い研究所がイノベーションの原動力と見なされており、技術的な優位性があらゆるイノベーションに必要だという固定観念があるためです。ビジネスモデル・イノベーションの最初の課題となるのは、この顧客洞察です。

 実はもう一点、難しいことがあります。それは価値提案を変えるには、全体のビジネスモデルを変えないといけないという点です。提供価値を変える際には、単に販売するものだけでなく、売り場や販売方法、生産方法といったプロセスや、さらには社内の規範や価値観までを変えないといけません。新たな価値を顧客に提供するには、社内の混乱は避けられず、その抵抗に勝る推進力が必要です。自動車業界をはじめとした製造業が、顧客の多様化に応じて少品種大量生産から多品種少量生産へと転換した際も、車種を増やし、オプションを増やすだけでなく、生産ラインを大幅に変え、物流の方式を変えました。それに伴い、社内のシステムは大幅な変革が求められ、社内の価値観が最大生産量至上主義から工場の柔軟性至上主義へと変わったのです。

 つまり、顧客や市場の理解という「社会問題」と社内の変革という「社内問題」という二つの問題があるため、ビジネスモデル変革は難儀なものになっているのです。

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社内問題を解決するため、「空白を見せる」

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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