そもそもなぜ働き方改革なのか-本質はツールではない
働き方改革は、企業が環境の変化を乗り越えて成長していくための「戦略」です。
こう語るのはシトリックス・システムズ・ジャパン(以下シトリックス)の小林伸睦氏だ。現在、「グローバル化による競争の激化」「労働時間と価値の関係性の変化」「人口・労働力の減少」など、企業を取り巻く環境が劇的に変わっている。働き方改革は、こういった環境の変化に適応し、生き残っていくための企業の「戦略」だという。
働き方改革というと、モバイル、クラウド、コミュニケーションなどの「ツール」に注目しがちであるが、働き方改革の本質はツールではない、と小林氏は語る。
働き方改革の本質は、ツールではなくて、会社の文化とかルールを変えてチャレンジをすることです。ここが変わらない限り、企業は変わりません。ボトムアップでどこかの部署だけで始めて最適化するというより、企業が「戦略」として打ち出さなければ生き残っていけない。トップダウンで進めることの方が理にかなっていて、大きな変化を起こせる、というのがこの改革の特徴です。
しかし、ただトップダウンで改革すればいいというのではなく、改革の順序が重要になる。
まず、労務管理や評価制度、情報管理といった企業のルールの改革。そしてポリシーやオペレーション。さらに会社に根付いているような「プリントアウト文化」や「とにかくはんこ文化」といった壁となる文化の改革。そして最後に、仕組みやシステム、ツールを考える。ツールのみが先行してしまっていても企業に改革は起きないということだ。
「選択肢」を与え、公平と公正の違いを考える
先述の通り、働き方改革は環境の変化に企業が耐え、勝ち抜いて行くための「戦略」なのだが、同時に社員の生産性を高めることが目的であるため、企業は社員それぞれに配慮する必要がある。
社員の働き方を変えるときに重要なポイントについて、シトリックス人事部の川島けい氏は以下のように語った。
企業は「公平」といって従業員全員を同じルールで縛りがちです。しかし人それぞれ状況が違うため均一にしてしまうことは逆に不公平なのではないかと思います。一人一人がベストパフォーマンスを発揮できるかということをそれぞれに考えてあげること、つまり『選択肢』を与えることが大切です。
さまざまな働き方を用意し、「選択肢」を与えること。それが個人のモチベーションの向上、生産性の向上、企業の業績アップというサイクルに繋がるという。