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コネクティッド・レストランCRISPが挑む、“占い師頼り”の飲食業界に変革を起こすDX戦略とは?

「ガートナー データ&アナリティクス サミット2022」レポート

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「社員の半数以上がエンジニアやデザイナー」飲食業界に新たな風を吹き込む

 CRISPは、カスタムサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」を、都内港区を中心に全国で20店舗展開している(2022年9月14日時点)。2014年の創業から、7年目で年商約13億円を突破し、従業員数は約450人(非正規含む)を超えた。2020年には三菱商事から5億円、そして2021年にはOne Capitalから5億円の資金を調達し、飲食業界で注目を集めている。

 なぜ、それほどまでに注目されているのか。「飲食企業としては中小規模だが、自社の取り組みに特徴がある」と、宮野 浩史氏(以下、宮野氏)は語る。

 同社は、テクノロジーを活用して顧客体験を再定義し、“非連続的な成長”と“高い収益率”を実現する、「コネクティッド・レストラン」という新たなビジネスモデルを展開。これまで勘やセンス、経験に頼りがちだった飲食業界において、経営にデータを持ち込み、データドリブンな経営手法を先駆的に導入しているという。

 まず、顧客はセルフレジ「CRISP KIOSK(クリスプ・キオスク)」で、店舗での注文や支払いをすべて完結できる。また、スマートフォンの専用アプリ「CRISP APP」で事前注文・決済を行い、指定店舗でサラダをピックアップしたり、指定場所へのデリバリーを選択したりすることも可能となっている。同社は、そうしたデジタル活用によって収集した顧客データを基に、店舗運営や事業戦略を展開するのである。

 そんなCRISPの最終目標は、「D&A(データ&アナリティクス)によって飲食店の顧客体験を再定義し、DXによる外食産業のイノベーションを実現する」こと。宮野氏は、調達した資金の大部分をテクノロジーの拡張に充てるとした上で、さらなるDXの推進に意欲を示す。

 同社の商品は、一つひとつを手づくりで提供するカスタムサラダ。一品の値段は、一般的なファストフードよりも高めの設定だが、店内、テイクアウト、デリバリーを軸に年間70万件の利用があり、モバイルオーダー人口は7万人に到達。加えて、70万件の注文のうち94%がデジタルチャネルを経由しており、全体のユーザーのうち76%がコネクティッド顧客(CRISPで直接ユーザー登録し、オンライン化された顧客)である。

 従業員の職種やキャリアにも特徴がある。多くの場合、飲食企業の経営チームは飲食業界で経験を積んできたメンバーで固められるものだが、CRISPでは飲食とは関連のないIT系、大手商社などの業界出身者がほとんどである。さらに、社員の半数以上はエンジニアやデザイナーだという。「飲食企業の経験者のみを起用するという縛りをなくし、様々な業種から優秀な人材を集めている」と宮野氏は語る。

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この記事の著者

中沢 弘子(ナカザワ ヒロコ)

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