日本展開におけるローカライズと日本企業の成果
──日本には2018年に進出されたとのことですが、どのようなところに可能性を感じて進出を決められたのでしょうか。
中藤丹菜氏(以降、中藤):当時の日本では、企業から個人に対してSMSを発信するサービスがあまり広まっておらず、そこにポテンシャルを感じていました。Eメールは読まれないがDMの郵送はコストがかかりすぎるという課題を、多くの企業が共通して持っていたということも進出の決め手となっています。
SMSによる発信は一般的ではない方法だったので、最初は啓蒙活動からスタートしました。SMS認証が今ほどメジャーではなかったので、「セキュリティ対策として2要素認証にSMSを使いませんか」とお声がけして理解をいただき、ご利用いただき始めました。
──日本向けにローカライズする際にはどんな点を工夫されたのでしょうか。
中藤:日本語対応や、日本人の好むユーザビリティに対応しました。「コミュニケーション」など、原語と日本語で印象やニュアンスに違いがある言葉も多いので、そこを開発チームと丁寧にすり合わせしています。
また、日本以外の国では、サービスメニューから希望に合ったものを、企業様自身に選んでいただくのですが、日本の企業様は、どのサービスが自社でどのように使えるのかお問い合わせいただくケースがほとんどです。そのためCM.com Japanでは、企業のどのような課題をどのように解決していくかから一緒に考えるようにしています。
──既に導入している日本企業の例を教えてください。
中藤:「MMC(モバイルマーケティングクラウド)」というサービスをご導入いただき、成果を上げていらっしゃる企業様を一例として紹介します。MMCとは、EメールとSMS配信のマーケティングキャンペーンを最大化するツールで、CDPを起点に1つのプラットフォーム上でセグメンテーションマーケティングから、顧客セグメントごとに最適化されたランディングページの制作、マーケティングオートメーション、顧客管理から分析まで行うことができるものです。
顧客データからセグメントデータを抽出し、それに合わせてコンテンツをターゲット配信することができるのですが、既存のEメールやSMS配信の反応率に限界を感じていた海外投資用不動産物件の売買仲介事業者様が導入された結果、顧客一人当たりの獲得単価がWEB広告の1/3以下になり、CVR(コンバージョン率)は既存メルマガの6倍になったとお聞きしています。
──MMC以外では、日本企業はどのようなサービスを使っているのでしょうか。
中藤:「+メッセージ(プラスメッセージ)」という法人向けのサービスをよくご利用いただいています。SMSの送受信のサービスで、携帯電話3大キャリアのセキュア環境で送受信が可能であり、電話番号宛に送れるので受信者のアカウントが乗っ取られる可能性も低いという、セキュリティ面で安心いただけるものです。
通常のメール配信や文字だけのSMSとは違い、リッチコンテンツを送付するのでユーザーの読了率や反応率が高く、双方向コミュニケーションで支払い完結まで行うことができます。多くの企業様に、人材採用における応募者とのコミュニケーションや予約のリマインド等にご利用いただいています。