窮地に立たされる日本の物流 直面する「2024年問題」とは
2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月より、自動車運転業務における年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する問題の総称のこと。
なぜ、労働時間が制限されるのか。それは、物流業界におけるトラックドライバーの人手不足や高齢化が深刻な上、近年のEC市場の急成長などもあり、長時間労働が慢性化しているからだ。法規制には、これまで対応が遅れていたトラックドライバーたちの労働環境改善を促進しようという狙いがある。
しかし、トラックドライバーにとって、労働時間の削減は“収入の減少”につながる恐れがある。また、社員の労働時間を守るために運ぶ荷物の量が減少すれば、物流業者は1回あたりの運賃を引き上げなければならない。すると、メーカーなどの荷主企業はより運賃の安い業者へと乗り換えてしまい、結果的に物流業者の売上が落ちてしまう。
そこへ追い打ちをかけるのが、“割増賃金率の上昇”だ。2023年より、中小企業で月60時間の時間外労働が発生する場合の割増賃金率が、25%から50%へと引き上げられる。従業員が数名~数十名規模の小さな運送会社がたくさん存在し、かつ長時間労働が慢性化している物流業界では、経営難となる企業が増加することになりそうだ。
こうした理由から、日本パレットレンタル(以下、JPR)の那須正志氏(以下、那須氏)は「物流業界ではモノが運べなくなるという危機感が共有されている」と指摘する。メーカーや小売業など、荷主となる企業にとっても深刻な課題となるだろう。
JPRは1971年に設立され、創業時より物流の場で用いられる荷役台「パレット」のレンタル事業を手掛けている企業だ。創業当初はパレットの貸出しを行うのみであったが、時代が進むと共に、その他の物流機器の貸出し・販売、レンタルパレットの運用を支えるためのシステムやソフトウェア開発、さらには物流コンサルティングなど幅広い事業を展開するようになり、今では様々なプロダクトやサービスを通じて、物流全体に係る“仕組み”を提供する会社となった。
そんなJPRの取り組みが、2024年問題を乗り越える一手として注目を浴びている。それが、「標準化されたパレットのシェアリング」である。