継続的なリスクテイクを阻害する“空気”の存在
なぜリスクテイクが難しいのか。小林氏は、昭和52年の発表以来、40年を経ていまだに多くの論者に引用、紹介される評論家・山本七平氏の『「空気」の研究』をここで取り挙げる。出版社の書籍紹介には以下のような解説文がある。
山本七平は本書で「「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。」「この『空気』なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。」と論じている。それから40年、著者の分析は古びるどころか、ますます現代社会の現実を鋭く言い当てている。「空気を読め」「アイツは空気が読めない」という言葉が当たり前に使われ、誰もが「空気」という権力を怖れて右往左往している。そんな今こそ、日本人の行動様式を鋭く抉った本書が必要とされている。
(株式会社文藝春秋『「空気」の研究』書籍紹介ページより)
なるほど、国政や企業経営において、首を傾げたくなる意思決定が時折あり、そこでは“空気”が大きく影響しているという。では、それは政治の世界や大企業だけに起こり得る現象なのか。