デロイト トーマツ グループのトーマツは、監査業務における専門文書と公認会計士らが有する検討のノウハウをAIに学習させることで、専門文書から監査に必要な情報の特定・抽出を行い視覚的に表示するAIツール「Audit Suite Text Reviewer(以下、AS Text Reviewer)」を開発し、9月から導入を開始した。
公認会計士などの専門家人材は、監査の過程で様々な契約書などの専門文書を熟読し取引の内容を把握するとともに、会計・監査に影響する重要な項目を漏れなく特定し、会計処理の検討や監査上の判断を行っている。複雑かつ長文の契約書などから必要な情報を漏れなく識別するためには、知識と経験が求められるという。
AS Text Reviewerでは、AIと自然言語処理技術と光学文字認識技術(OCR)の組み合わせによって、契約書などの文書・画像ファイルも短時間で一貫した処理を行うことが可能。AIを活用することで、経験年数に関わらず熟練者の水準で文書検討が可能となり、監査上の判断に集中できるほか、膨大な契約条項の傾向把握も可能だとしている。
また、文書の内容に関わらず文書のレビューを全般的に支援する目的で、AIが最大3つの文書を横並びで比較し、相違点を視覚的に一覧化する機能も搭載。例えば、監査先企業に提出する重要な文書をレビューする際に作成中のドラフトが、最新のひな型をもとに前期の内容を引き継ぎつつ、当期に必要な更新が漏れなく反映されているかの検証を支援する。これにより、会計士は相違点などに関する判断業務などに集中できるという。
なお、第1弾では、「リース取引に関する会計基準」における今後の改定を見据えて不動産リース契約書のAI情報抽出機能を搭載。リース料やリース期間などの会計処理に影響する記述を中心に25項目を自動的に抽出して該当箇所をハイライトし、一覧化する。今後は流動化取引やM&Aなど、専門性が要求される領域の文書に対するAI情報抽出機能を順次開発する予定だとしている。