リクルートキャリアで実践した、既存事業と新規事業のリーン・スタートアップ

Lean Startup for Enterprise Meetup セミナーレポート 後編

 大企業によるイノベーションの起こし方。前回のレポートでは大企業におけるリーンスタートアップの本質について明らかにした。リーンスタートアップとは業務プロセス改善であり、それ以外の何でもない。では大企業は実際にどのようにして業務プロセス改善を行っているのか。
 Lean Startup for Enterprise Meetup「実践を通じて発見した、大企業における成功するリーン スタートアップとは」にてリクルートキャリアで新規事業、既存事業両方に関わる細野真悟氏が語ってくれた。

[公開日]

[講演者] 細野 真悟 [取材・構成] 土屋 亘 [編] BizZine編集部

[タグ] リーン・スタートアップ 事業開発 新規事業開発

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大企業における新規事業プロセスは「アート+サイエンス」

 細野氏はリクルートキャリアにて転職サイト「リクナビNEXT」の商品開発部長と新規事業開発部長を兼任しており、まさに大企業における既存事業イノベーション、新規事業立ち上げ両方に関わっている。既存事業イノベーションにおいては、人材紹介サービスのIT化で、この2年間で売上を数十億円程増加させている。新規事業立ち上げでも、今年の9月頃にサービスをローンチする予定だ。ただ、この順風満帆な実績も、プロセス改善があったからに他ならない。

 実際に大企業の中でどのようなプロセスを踏むべきなのか。はじめに新規事業の領域について語ってくれた。下図が細野氏の考える「新規事業開発のプロセス」を図式したものだ。

タイトル図1. 人材関連の新サービス立ち上げで実践した「新規事業開発のプロセス」

 まず「アイデア( i )」を誰かが思いつく。メンバーが思いつく場合もあれば、役員が思いついてメンバーがアサインされる場合もある。例えば転職サービスであれば「年収が気になる人が多いので、年収を使ってサービスを作れないか」という様なアイデアである。

 次にこの「アイデア( i )」が「イノベーション( I )」に成熟する姿を描く訳だが、この作業は「アート」だと細野氏は語る。

面白いプロダクト作るってアートが必要だと考えています。プロセスを洗練させれば面白いプロダクトができるなんて嘘。お笑いみたいなもので、どれだけお笑い養成所に通っても、才能がないと開花しない。この領域はサイエンス100パーセントではないと社内で言い切っています。

 もし「アイデア( i )」から「イノベーション( I )」が描けても、いきなり完成品はつくらない。MVP( Minimum Viable Product )をつくり仮説検証をしていく。ここはアートではなく、サイエンスの部分だ。そしてその結果、当初描いていた「I」とは違う、より大きな「 I’ 」ができるという。しかし、「イノベーション( I )」から「イノベーション( I' )」ができあがる確率は、20個に1個くらいしかない。

特にリーンに仮説検証を繰り返せば、いつかイノベーションに行き着くと信じている人が多い。だから、このアイデア( i )の少し上の「アイデアに毛が生えた程度のプロダクトもどき」をまずは立ち上げてしまい、リーンっぽいプロセスに早く入りたがる。何も整っていないものを仮説検証しはじめます。

 一つ目は「1人のメンバーに複数のボールを持たせること」だという。20個に1つほどしか成功しない確率を補うためにも数を打つことが重要。さらにそれに加え、細野氏は「1人に1つずつある程度成功確率の高いボールを渡すという工夫」も行っている。

確実にマーケットを捉えてそうなボールを一個渡してあげて、不安を払拭させ、残り2つでチャレンジさせてポートフォリオを組むというやり方をしてマネジメントしています。

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