日本電気(以下、NEC)と東京都市大学は、センシング技術やAI技術などの先進テクノロジーを活用したスマートインフラマネジメントに関する共同研究の基本合意書(MOU)を締結し、2月14日より研究開発を開始する。
同共同研究では、NECのモデルフリー分析技術などのデータ分析技術開発の実績・ノウハウと、東京都市大学の橋梁や道路などの社会インフラ・構造物に係る設計・保全技術を組み合わせ、インフラ設備に対する異常予兆監視システムや劣化検知システムの開発・構築に取り組むという。
具体的には、社会インフラ保全のDX化に向けて、橋梁に関するデータの統合とAIによる異常検知、健全度診断など、スマートインフラマネジメントを支える技術の研究・実証として、まずは巡回点検車に設置された高感度カメラや赤外線サーモグラフィカメラ、加速度センサ、マイクなどから収集されるマルチモーダルデータを統合的に分析。これにより、健全性判定や⻑期劣化傾向などの状態を多角的に監視するAI技術の構築・検証を行う。
また、橋梁に設置した汎用の光ファイバーによる振動データ計測による橋の構造パラメータの推定、交通状況の推定について検証。加えて、センサ設置が不要なセンシング技術として衛星合成開口レーダによる橋梁モニタリングを活用し、近隣の開発工事に伴う既存橋梁への影響について検証を行う。これら橋梁に関する常時監視データと巡回点検車による収集データを組み合わせてインフラを統合的に監視する技術を開発するとしている。
研究における両者の役割は以下のとおり。
- NEC:AI技術を使った分析、東京都市大学による分析実施の支援、AIエンジンの提供
- 東京都市大学:橋梁・道路などの状態監視/メンテナンスに関する知見や課題の分析、点検車による分析データの収集・解析、実証フィールドの選定、役所・公団・コンサル会社との窓口
両者は今後、今回の共同研究で得た実績やノウハウを活かし、2025年を目処に、一般橋梁・道路向けに構造物の健全性判定およびインフラの統合監視を実現するスマートインフラマネジメントシステムの社会実装を目指して取り組んでいくという。