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組織が進化するリスキリングの本質

見極めるべきリスキリングの本質とは? 陥りがちな二つの罠、“組織と個人の統合”で進める推進の全体像

第1回

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 2022年の政府発表もあり、世の中で飛び交うようになったキーワード「リスキリング」。この言葉の捉え方は企業によってばらつきがあり、実際の推進は各社試行錯誤、どのように取り組んだらいいのか模索している状況のように見えます。そのような中、リスキリングという言葉に表面的に踊らされずに、リスキリングとは何かを改めて考え、その学びを推進していくためのポイントをお伝えします。

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なぜリスキリングが求められるのか

 世界、および日本でリスキリングの必要性が叫ばれて、久しい状況が続いています。2018年には、世界経済フォーラムにおいて「2022年に全労働者の54%以上が大幅なリスキリングを必要とする」という調査結果[1]が発表され、直近では国内においても、2030年までの向こう10年以内に事務職や生産職に数百万人規模の大幅な余剰が生じる一方、デジタル人材をはじめとした専門・技術職は同程度以上が不足すると予測されています[2]

 さらには昨年、政府がリスキリングに大幅な支出を行うと発表したこともあり注目を浴びているリスキリングですが、定義としては、個人の意欲・興味に基づくいわゆる「学び直し」や「リカレント教育」ではなく、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得させる/すること」であると言われています。

 「今の職業で必要とされるスキル」というとあまりに多くのテーマが該当してしまうため、本稿では「事業の方向性の変化に伴って求められるリスキリング」を扱うこととし、コロナ禍にあってのリモートワーク対応のような、突発的に発生した問題への対応としてのリスキリングは除外します。

改めて「リスキリング」とは何か

 リスキリングをより具体的に見てみると、日本企業においても全従業員にDXリテラシー教育を行うなどの取り組み事例が見られます。しかし、果たして“リスキリング=全社員一律のDX人材育成”という考え方は正解なのでしょうか?

 たとえば、ある保険会社では、ネット保険を含めたサービスの乱立、消費者の選択眼の向上といった環境変化から、「利用手続きに関わるUI/UX強化による、顧客体験価値の向上」を事業戦略として掲げました。その結果、手続き業務がデジタル化され業務量は減少。これにより、それまで手続き業務に携わっていた事務スタッフ員を営業へ配置転換することになり、その際に営業スキル教育を行ったという事例があります。

リスキリング=全社員一律のDX人材育成というわけでもない©Recruit Management Solutions
リスキリング=全社員一律のDX人材育成というわけでもない
©Recruit Management Solutions
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 また、ある情報メディア会社においては、今までは中堅・大手企業向けネット広告の販売と、それによる顧客企業の成果創出が主な提供価値であったため、いかに顧客企業の戦略を理解し、そのソリューションとして広告を販売できるかが重要であり、法人営業には専門性の高いコンサルティング営業職が求められていました。

 しかし、広告メディアでの差別化が難しくなり、より顧客に踏み込んだ業務支援を提供価値に置くようになると、業務支援ソフトウェアサービスのより幅広い顧客群への展開が、戦略の中心となっていきました。これにより、より多くの顧客にサービスを展開していくための戦略を検討する企画スタッフが業務設計上求められるようになり、営業職からの異動と、企画スタッフに求められる問題解決力に関するリスキリングを展開したという事例もあります。


[1]Børge Brende「リスキリング革命を実現するには」(世界経済フォーラム、2019年6月7日)

[2]【出典】株式会社三菱総合研究所「目指すべきポストコロナ社会への提言 ─ 自律分散・協調による「レジリエントで持続可能な社会」の実現に向けて」(2020年10月19日)

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この記事の著者

奥野 康太郎(オクノ コウタロウ)

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