2:社内でイノベーション起こす方法
次に、ブランク氏は、長期的なイノベーション戦略が必要と説く。
「CEOは効率一辺倒や実行偏重からイノベーション重視へ変わらなければならない。組織が柔軟でなければ大変だ。社内の経営資源は限られており、機会をとらえたアジャイル=俊敏な資源配分でなければならない。一部の人が発明して済むという時代ではなく、それ以外からの新たなアイデアも活かして全社的にイノベーションに取り組まねばなければならない。イノベーション創出に合った企業文化と報酬制度体系にしなければならない」
また、「破壊的なイノベーションは、リーダー企業には玩具のように見えてしまう」と、ブランク氏は次のような例とともに指摘する。初代のiPhoneがノキアの取締役会が見せられたとき、アップルへの対抗策が提案されたが、ちっぽけな市場シェアのiPhoneに対しては何もやる必要はないとの反応だったという。つまり、既存事業が強いリーダー企業は、イノベーションを過小評価しがちなのだ。
このようにブランク氏は、「社内でイノベーション起こす方法」として、経営の視点からイノベーションへの取組みとマネジメントの要諦をまとめた。
3:プロダクト開発で失敗を減らす方法
3つ目の「失敗を減らす方法論」については、ブランク氏の書籍にも詳しく記されている。「かつてはベンチャーを既存の事業の小さなものとみなしてきたが、この2つは全く違うものだ。ベンチャーは“探索”し、大企業は既存事業を“実行”することが主だ」(ブランク氏)。以下に、ブランク氏の指摘をまとめてみよう。
既存事業は分かっていることが多く、既存のプロセスを日々繰り返す。しかし、スタートアップでは、分からないことだらけだ。ビッグ・アイデアはなおさら分からない。いくつもの未知のことを解決し、正しい答えを探していく。そして、プロダクトと市場が合うか検証する。探索により軌道修正が必要だとわかれば、ピボット(事業転換)することになる。