Quantum.Tech APACの概観
最初に、参加者のラインナップを紹介します。これまで欧米で開催されてきたカンファレンスとは異なる顔ぶれです。開催地シンガポールの参加者が多いのはさることながら、インドやフィリピン、ベトナムなどアジア各国からの参加者も多いことが特徴的でした。
国名 |
名称 |
概要 |
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シンガポール |
量子技術に関する国家プロジェクト |
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National Quantum Office |
科学技術研究機構量子研究室 |
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防衛科学技術庁(Dsta)戦略的投資部門 |
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シンガポール国立大学 |
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シンガポールマネジメント大学 |
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イエール大学とシンガポール大学の合弁大学 |
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ベンチャーキャピタル |
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ベンチャーキャピタル |
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量子ソフトウェアスタートアップ |
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量子ソフトウェアスタートアップ |
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量子暗号スタートアップ |
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量子暗号スタートアップ |
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量子センサースタートアップ |
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オイルメジャーBPのシンガポール拠点 |
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ウクライナのIT企業のシンガポール拠点 |
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eコマースプラットフォーム(アリババグループ) |
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フランスIT大手シンガポール支社 |
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インド |
量子分野コンソーシアム |
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量子ハードウェアスタートアップ |
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韓国 |
IoTセキュリティ企業 |
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情報通信企業 |
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ベトナム |
ベトナム国家大学 |
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フィリピン |
量子グローバルコミュニティフィリピン支部 |
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タイ |
量子ソフトウェアスタートアップ |
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大手化学品メーカー |
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インドネシア |
ITベンダー |
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オーストラリア |
ベンチャーキャピタル |
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量子ソフトウェアスタートアップ |
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量子ハードウェアスタートアップ |
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アメリカ |
量子ハードウェアスタートアップ |
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量子ハードウェアスタートアップ |
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大手量子コンピュータ開発メーカー |
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大手量子コンピュータ開発メーカー |
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科学分野の女性支援非営利団体 |
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量子分野特化Webメディア |
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量子専門の調査会社 |
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イギリス |
量子分野の教育、人材紹介、調査、コンサルティング企業 |
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情報通信サービス |
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量子人材紹介会社 |
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再保険会社 |
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カナダ |
量子ソフトウェアスタートアップ |
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ドイツ |
格付会社グループの調査会社 |
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オランダ |
量子業界団体 |
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フィンランド |
国立研究所 |
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量子ハードウェアスタートアップ |
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ルーマニア |
量子コンピューティング教材開発企業 |
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日本 |
総合商社、量子プロジェクト |
※主催者・登壇者提供資料より作成
本連載では、この中からいくつかの発表をかいつまんでご紹介していきます。
量子業界の概観
初日の基調講演に登壇したのは、Global Quantum Intelligence社のDavid Shaw氏。彼は、量子業界の分析レポートを発信する調査事業を行っており、様々な量子イベントでファシリテーションを務めるなど世界で最も量子業界に明るい人物の一人です。
最初に、産業のGDP比率を分解した図をもとに、どこに量子が適用されるかを示しました。資源採掘から製造、サービスまでほぼすべての領域に、量子コンピュータ、量子暗号、量子センサーが影響を及ぼすとのことです。将来量子技術が無縁の人はいないといえるでしょう。
次に、量子産業を8つのレイヤーに切り分け、その中でいくつかの話題に触れました。
産業界の最大の関心事は、「量子コンピュータが既存のコンピュータと比べ実用面で優位性を持つ“Quantum Advantage”にいつ達するのか?」です。その実現に向けて、様々なレイヤーに課題があります。Shaw氏は、最も大きな課題として量子コンピュータのハードウェアにおけるエラー率の高さ、量子ビット数の少なさを挙げました。
現在、ハードウェアの方式として、超伝導、イオントラップ、中性原子、光など様々なものが開発されています。しかし、どれも一長一短あり、これまでに提案されていない新しい方式が入り込む余地も十分にあると語りました。