エンゲージメントの強敵になりうる「静かな退職」
エンゲージメントを短期的かつ持続的に引き上げることは、決して容易ではありません。近年、社会全体や働く人々の価値観の変化もその難易度を引き上げているように思われます。その一例が「静かな退職(Quiet Quitting)」といわれる働き方です。2022年の夏にTikTokに投稿された動画が米国を中心に大きな反響を集め、日本でも話題になりました。「退職する気はないが、仕事に対する熱意を失い、与えられた仕事以上のことをしない働き方」のことです。つまり、自発的な貢献意欲を前提とする「エンゲージメント」に対して真逆の働き方といえます。
「静かな退職」は今に始まったことではありません。しかし、コロナ禍を背景として、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)、ダイバーシティ(多様性)など、社会全体で個人を大事にする傾向が強まり、無理せず与えられた仕事以上のことをしない「静かな退職」に共感する人は、これからも増加していくことが考えられます。