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企業の持続的成長を支える“体験管理”

カスタマージャーニーに沿ったCX向上──組織横断的な取り組みが生み出す価値

第2回

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 本連載の第1回では、エクスペリエンス管理のこれまでの考え方・歴史を振り返り、製品・ブランドを軸にした管理から、顧客・従業員など「人」を軸にした考え方に移り変わってきた経緯、そして両者が企業とどのように向き合ってきたかについて解説しました。2回目となる今回は、カスタマー・エクスペリエンス(CX=顧客体験)をどのようなマインドで行うべきか、どのような価値が見出せるか、そして部署横断的に取り組むべき理由について解説します。

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オムニチャネル時代のCX

 最初に「CX」とは何か、改めて確認しましょう。

 CXとは、企業のWebサイトにおけるUXや、コールセンターにおける顧客対応の最適化といった、接点ごとの狭い領域の向上ではありません。CXでは、カスタマージャーニーに沿った形で「検討」から「利用」、「利用継続(更新)」までの顧客の包括的な接点を1つの“体験”と捉え、改善していくことを目指します。カスタマージャーニーを振り返り、どの接点が悪かったのか、その理由を分析し、改善するにはどうすればいいか考え続けます。

 つまり、「顧客視点」で全社一丸となり、顧客一人ひとりのエクスペリエンス改善方法を考えていくマインドを醸成し、常に期待値を上回る体験を提供し続ける「規律」を生み出すことを指します。

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 CXは、比較的ローコストで開始できる取り組みです。また、部署横断的・全社で実施することで、ロイヤルティの向上や強固な顧客関係の構築が期待できます。たとえば、優れた体験を提供したタッチポイントの情報を社内に共有し、他支店や他部署が参考にすることで改善の連鎖が生まれます。このPDCAを継続することで、顧客視点で考える企業文化の醸成や、イノベーションを生み出す土壌づくり、利益率の向上や、変化への柔軟な対応による差別化にも貢献していきます。

 なぜ「CX担当」などの担当者・部署単体ではなく、部署横断的・全社でCXに取り組む必要があるのでしょうか。それは、BtoB企業であれBtoC企業であれ、お客様は各タッチポイントを単体で見ているのではなく、会社全体をみているからです。

 デジタル化が進む現代において企業と顧客との最初の接点は、検索エンジンからたどり着いたHPだけでなく、InstagramやTwitterのようなSNSの投稿かもしれません。最初の接点からそのブランド・企業について気になり始め、オンラインで情報収集をしたり、Web上で実際に購入をしたり、もしくは営業に問い合わせて対面で契約を交わす、実際に店舗などに訪れて購入するというケースもあるでしょう。このように、商材によってカスタマージャーニーは様々な形態を取りますが、共通しているのは、顧客との接点はオンライン・オフラインの様々な種類が交錯する「オムニチャネル」化が進んでいるということです。

 そして、この多様なチャネルの背景には、組織内の数多くの部署がステークホルダーとして控えています。たとえば、広告はマーケティングもしくはブランディングの担当、自社Webサイトはデジタル部門、実際に顧客と対面で会話するのは営業といった具合です。このように詳しく見ていくと、契約前の段階で、既に3~4部署が顧客との接点に関連していることは珍しくありません。

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 製品の導入・保守・点検などを外部委託している場合は、ステークホルダーは社外にまで広がっていきます。たとえば、BtoCにおいて、家電やリフォームなどを購入する際に、実際の着工を外注しているケースもあるかと思います。BtoBにおいても、製品の導入自体をパートナー企業と行っているケースもあります。トラブル発生に関する問い合わせがあった場合の受付業務を外部のコールセンター事業者に委託しているケースもあるでしょう。

 CXは社内の部署はもとより、社外の組織も関係してきます。CXを総合的に向上させるには、部署横断的・社外パートナーの巻き込みが必須となるのです。

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この記事の著者

久崎 智子(キュウザキ トモコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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