コンセントは、2018年5月に発表された経済産業省と特許庁による「『デザイン経営』宣言」から5年目の節目となる2023年、国内の企業現場での「ビジネスにおけるデザイン活用」の実態調査を実施し、『デザイン思考・デザイン経営レポート2023』を公開した。
同調査ではインターネット調査を用いて、非デザイナー、中でも広く企業でイノベーションを推進する職種のビジネスパーソンを中心とした500名を対象に、現場における「デザイン思考」や「デザイン経営」の理解、活用、DX推進との関係などを調べたとしている。
調査概要
- 調査手法:インターネット調査
- 調査時期:2023年1月
- 調査対象:従業員100名以上の企業の従業員500名
- 分析対象:イノベーションやDXの現場を担う非デザイナーのビジネスパーソン410名
- 比較用:その他の職種の非デザイナーのビジネスパーソン90名
多くの企業でデザインを経営に生かす取り組みが行われている一方で、課題に直面して思うように進まない企業や、導入に踏みきれない企業が多い現状があるという。
コンセントは、こうした状況には、一般のビジネスパーソンの間での「デザイン思考」や「デザイン経営」に関する理解度などが関係しているのではないかと考え、同調査において、従業員数100名以上の企業でイノベーションを推進する立場で働くデザイナー職以外のビジネスパーソンに焦点を当てたという。
「デザイン思考」や「デザイン経営」に対する理解や活用の実態を明らかにすることで、ビジネスにおけるデザイン活用の推進に資するとしている。
調査結果のハイライト
成果を実感できるDX推進の鍵は、「デザイン思考」を習得した人材
- DXの取り組みに対する成果を実感している層では、44.5%が「デザイン思考を習得した人材を非常によく活用できていると思う」と回答
- 一方、まだ成果を実感していない層で「非常によく活用できていると思う」と回答した人は、わずか2.3%
「デザイン思考はデザイナーのもの」という誤解
- 「デザイン思考は、非デザイナーでも身につけられるものであることを知らない」人が55.9%
デザイン思考は次の必須ビジネススキル
- VUCAの時代を生き抜くために、デザイン思考の習得やビジネスの現場での実践に関心を示した人は75.4%
DXやイノベーション推進の現場で感じる、所属企業へのデザイン経営の導入に対する難しさ
- 「所属企業にデザイン経営の考え方やアプローチを取り入れてほしい」人は89.5%。そのうち6割近くは「取り入れてほしいと思うものの、実際は難しい」と考えている
- 難しいと感じる理由は、「デザイン経営で得られる効果がわからない」「上層部の意識が変わらなそう」「社内のどのようなメンバーが適任者かわからない」「何から始めたらいいかわからない」など
コンセントで取締役/デザインマネージャー/サービスデザイナーを務める大﨑優氏は、以下のように述べている(プレスリリースより抜粋)。
「デザイン思考」の重要性が増し、DXやイノベーションの現場にいるビジネスパーソンの多くはその習得や活用に関心をもっています。デザイン思考はDXに欠かせないといわれていますが、本調査の結果でもそれが裏付けられました。「デザイン思考は非デザイナーが身につけることはできない」という誤解を解くことは、デザイン思考の習得に取り組むビジネスパーソンの増加につながり、ひいては企業における人材活用にもつながると考えられます。
一方で、「デザイン経営」については、イノベーション関連職種のビジネスパーソンであっても、その言葉は知っているものの内容をあまり理解していないことがわかりました。導入にあたって感じるハードルの多くは、知見をもつ外部専門家の力を借りることで、解決が可能であると考えられます。
企業にとって「デザイン思考」や「デザイン経営」は目的ではなく手段です。企業課題に即した目的設定を行い、手段としての活用をアレンジする必要があります。本調査では、その活用に向けての課題がどこにあるかにも有用な示唆を提供できるものです。
デザイン思考の習得の後押しや、デザイン経営の導入によりイノベーションを推進することに、本調査で得られた知見が資することを期待します。