PLとKPIは経営企画で一元管理する
広瀬好伸(以下、広瀬):まずは経営企画の管理範囲から伺います。お二人はPLのみ管理しているのでしょうか。それともKPIも含めてモニタリングしているのでしょうか。
大谷駿明氏(以下、大谷):ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)では経営企画が経営層に対して示唆を出すことが求められているので、PLとKPIは一元管理しています。
荒山大輔氏(以下、荒山):メルカリもKPI管理への意識は強く、PLや予実も含めて把握しています。予算を作るときに、売上の向上にどういった要素が影響したのかを説明する必要があるので、KPI管理や施策の把握は重要です。
広瀬:共通認識として「PL管理とKPI管理は経営企画がやるべき」といえますね。では実際にどのようなKPIを管理しているのでしょうか。
荒山:メルカリでは、サービスプラットフォーム上での取引量が売上に直結するので、まずは売上増加のレバーとなる「取引数」と「平均単価」に分解して考えます。そして、どのKPIがよくなると、もしくは悪くなると売上や利益に影響するのか、主要なKPIとPLをつなげて説明できるように管理しています。
具体的なKPIを挙げると、MAU(月間の訪問ユーザー数)、MAUのCVR(コンバージョン率)などです。ユーザーあたりの出品数や購入頻度も基本的なKPIとしています。加えて、平均取引単価やLTV(顧客生涯価値)などを見ていますね。
大谷:DeNAもほとんど同じ考え方ですが、当社は「Pococha」などのライブストリーミングサービスやスマホゲームといったネットサービスが主なので、違うKPIを使っているかもしれません。
基本となるのは「ユーザー数×顧客単価」で、UUとAU、UUとAUがどれくらい戻ってきているかというRR(継続率)。それからダウンロード数やCVRから割り出した顧客数と、顧客の課金額から算出した顧客単価、これらを掛け合わせたARPPU(課金ユーザーあたりの平均課金額)などを見ています。コストサイドでは、CPI(顧客獲得費用)や、LTVなど、違うメッシュでのKPIがいくつかあり、このようなベーシックなKPIを3階層ほどブレークダウンして管理しています。
一方、この掘り下げ以上に重要だと思うのが、サービスごとのユーザーの性質や特定イベントでの反応や、課金率などとの関連性を見ることです。これらを網羅的に確認できるよう、マクロに管理するようにしています。