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デザイン・イネーブルメントによるDX推進

「デザイン・イネーブルメント」とは何か──完成形が存在しないデジタルプロダクトとデザインの新しい領域

第1回

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 本連載は、DXによって引き起こされる様々な業務、プロダクト、ビジネス変革に適応すべく求められるデザインの新しい在り方について探求します。専門職能ではなく、ソフトスキルとしてデザインを再定義した「デザイン・イネーブルメント」という考え方について、その根幹にある思想や体系的な構造を可能な限りわかりやすく紐解いていきます。今回は、デジタル技術や体験を前提としたプロダクトとそれを支えるデザイン活動の特徴と関係性を整理します。その上で、私たちはデザインをどのように捉え、活用していくべきかという問いを明らかにしていきます。

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完成形が存在しないデジタルネイティブなプロダクト

 DXの波が高まる中、企業や組織が提供するプロダクトは、より一層デジタルを前提とした体験を提供することになってきています。このようなプロダクトを本稿では、「デジタルネイティブなブロダクト」と呼びたいと思います。

 デジタルネイティブなプロダクトは、それを利用するユーザーに対して、デジタル技術を使いこなすためのリテラシーを要求します。同時に、そういったプロダクトを提供・運用している事業体の担当者やチーム自体のデジタルスキルを向上も不可欠になってきます。

 また、デジタルネイティブなプロダクトは、利用すればするほど、自分自身のニーズに合わせた情報を提供してくれるという特徴があります。不特定多数に向けたものではなく、個別に最適化されたコンテンツが提供されるのです。例えば動画ストリーミングサービスを提供しているNetflixのアプリの「ホーム」に表示されているコンテンツは、私自身の視聴履歴にしたがってパーソナライズ化されたものになっています。またこのアプリは、定期的なアップデートによって少しずつより良い体験を提供できる形へと変わっていくのです。

 なぜこのような変化が起こっているのでしょうか?

 それは、デジタルネイティブなプロダクトが、従来の物理的なプロダクトとは全く異なる特性を持っているからです。そのもっとも大きな特徴が、「完成形が存在しない」というものです。

完成形が存在しないデジタルプロダクト

 例を挙げて考えてみましょう。単純なコップや椅子を製作・販売している場合、一度型を作り、生産し、店舗で顧客が購入することでその商品の管理・運用は、基本的には購入した顧客自身にその責任が移行します。ところがデジタルネイティブなプロダクトの場合、モノとして顧客がそれを所有することは少なく、むしろ継続的な運用改善や拡張がなされるプロダクトが提供する機能や利益を、利用者が一時的に利用し対価を払うというSaaSのビジネスモデルになることが多くあります。

 「常に変化する」ということは、その変化を可能にする継続的な運用・改善を実行する事業者側の体制が欠かせません。その体制次第で、どれだけ市場やユーザーニーズの変化に機微に対応できるかどうかに大きく影響してくるのです。

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この記事の著者

本村 章(モトムラ アキラ)

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