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社会性と利益を両立させるゼブラ企業のムーブメントと、学術面から見えたESG経営の現在

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 株式会社ヒューマンバリューが主催した「『GROW THE PIE』出版記念フォーラム─パーパスと利益の二項対立を超えて、持続可能な経済・経営を実現する─」では、投資家やアカデミアの視点からの議論も行われた。株式会社Zebras and Company 共同創業者/代表取締役陶山祐司氏の講演「経産省、VCを経て見えた日本企業のポテンシャル 〜ゼブラ企業のムーブメントと”GROW THE PIE”から見えること〜」と、一橋大学 大学院経営管理研究科 教授の篠沢義勝氏による講演「学術研究と経営実務の交差点:GROW THE PIEを読みながらこれからのESGを考える」の模様をレポートする。

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社会性と経済性のゼブラ企業

 投資家・アカデミアのパートでは最初に陶山祐司氏が登壇。

 陶山氏は2010年に新卒で経済産業省に入社。担当が資源エネルギー庁だったため、入社1年目の2011年に発生した東日本大震災を機に、民主党政権下でエネルギー政策の作り直しを担当していたという。その後、2014年にVCであるインクルージョンジャパンの立ち上げに参画し、創業初期のベンチャー企業に投資をする業務にあたり、2016年からは政府や産業支援機構といった政府系のファンドと対話をして資金調達を行ってきたと話す。

 VCとして活動する中で陶山氏は、課題を感じていたという。

「VCは、出資先には上場して時価総額1兆円を目指してもらうのが常識とされています。お金を出したら数年間で事業売却か上場してくださいというスタンスでえす。ただ、本当にそうなる事業ばかりではありません。そして、上場や事業売却にはならないが社会意義のある事業もたくさんあります」

 米国では、リスク・リターンとは違う軸で社会的な成果を狙う「インパクト投資」という流れもできている。そこで陶山氏が出会ったのが「ゼブラ企業」という概念だ。

 「米国でも極めて短期間で急成長するベンチャーにお金が集まりがちです。そうではなく、より新しい社会を作る企業を応援しようというムーブメントが、米国の女性起業家から生まれてきました。社会性の“白”と経済性の“黒”、その両方をシマウマとして追っていくのです。ユニコーンは他の企業とは差別化をしてマーケットを独占して高い利益率で、高い時価総額を追う。それに対してゼブラ企業は、群れで支え合って長期的視点で持続的な繁栄を目指すのです」と陶山氏はゼブラ企業について語る。

 陶山氏はゼブラ企業という概念を広めるための活動をしており、実際に社会的意義がある企業に対しても投資をしている。

大きな市場規模でなくても投資が集まる時代へ

 陶山氏は日本における具体的なゼブラ企業を2社紹介した。

 1社目は株式会社ウェルネストホームだ。

 住宅の領域は「成熟産業」と言われるようになって久しく、少子高齢化によりマーケットは縮小傾向にある。そんな中、日本で随一の環境性能住宅を提供しているのがウェルネストホームだ。断熱性能が非常に良く、エアコン1台で家中の冷暖房をまかなうことができる。また、100年使い続けられる木材で建てているので、環境負荷も少ない。北海道ニセコ町では、自治体と共同して街の中心部に住宅地を開発し、コミュニティの再生や環境負荷の軽減、新しい社会価値を生み出そうとしているという。

 2社目に陶山氏が挙げるのが、株式会社ウニノミクスだ。

 海には、海の砂漠化である“磯焼け”という現象がある。これは、ウニが大量繁殖して餌となる海藻を食べ尽くしてしまうことで発生し、漁場が荒れる要因とされている。そうなると、ウニも育たず身がスカスカになってしまうので、ウニ漁にも経済的なインセンティブが生まれない。長期的に見るとウニはいつか死に絶え、そして海藻が復活するといえる。ただ、ウニは食べ物が無くなると仮眠ができるため、一度磯焼けが起こるとなかなか元には戻らないという課題がある。そこでウニノミクスは、漁場を荒らすウニを捕獲し、特殊な技術を用いて育てて実入りを回復させ、販売している。

 陶山氏は「数千億円から1兆円の市場規模でなければ、そこにいる企業は上場できないと言われています。実はグローバルで見るとウニのマーケットは数百億円中盤程度あるのですが、その市場規模だとVCは投資をしない。ハイテクノロジーでニッチマーケットを狙っている非上場企業には、お金が集まっていないのです。私は、その金融や経済の仕組みを改善する余地があると考えています」と話し、講演を締めた。

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この記事の著者

上野 智(ウエノ サトル)

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