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大企業・アカデミア・研究機関の6者が議論──日本のイノベーションエコシステムをどう共創していくか?

「IMS SUMMIT 2023」レポート

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 2023年10月23日、「システマティックなイノベーションによる未来の創造」をテーマにJapan Innovation Network(JIN)が主催した「IMS SUMMIT 2023」。​企業が組織戦略としてイノベーションを起こすためには、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の醸成が必要であるという共通認識のもと、日欧の大企業やアカデミア、研究機関の代表者6名が集い、パネルディスカッションを行った。それぞれの視点から語られる、日本企業にイノベーションを起こすエコシステムの在るべき姿とは。

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パネリスト紹介

  • イケア・ジャパン 代表取締役社長 兼 CSO ペトラ・ファーレ氏
  • 東日本旅客鉄道 代表取締役社長/経済同友会 イノベーション戦略委員会委員長(2022年度) 深澤祐二氏
  • 三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 磯和啓雄氏
  • 理化学研究所 経営企画部長 斉藤卓也氏
  • 東京工業大学 副学長(産学官連携担当) オープンイノベーション機構 教授 大嶋洋一氏
  • Japan Innovation Network 代表理事 紺野登氏

従来型の実店舗ビジネスが突然脅かされたイケアの変革

 最初に発言したのは、イケア・ジャパン(以下、イケア)のペトラ・ファーレ氏。イノベーション先進企業として知られるイケアだが、常にイノベーションを追求してこれたのは、80年前の創業時から受け継がれる起業家精神と、「人々のためにより良い生活を創造する」というビジョンに支えられてきたからだと語る。同社は現在、中長期的な方針として「手頃な価格」「アクセシビリティ」「持続可能性」の3つのテーマに焦点を当て、社会の急速な変化に対応している。

 昔からイケアは世界的なメガトレンドを把握して、経営や事業戦略として素早く対応してきたと語るファーレ氏。しかし直近、これまでの想定をはるかに上回る環境変化にさらされた。パンデミックの到来だ。さすがのイケアも一時は混乱に陥ったという。

「世界中に店舗を展開するイケアですが、パンデミックによりほぼすべての国で実店舗を閉鎖せざるを得なくなり、生き残るためにはオンライン販売が不可欠になりました。生命線であるグローバル・サプライチェーンは機能不全に陥り、危機を乗り越えるためのアイデアをなんとか出さなければいけませんでした」(ファーレ氏)

 結果、イケアのビジネスモデルは大きな進化を遂げた。これまで同社の主流であった倉庫を兼ねた巨大な箱型の大型店舗には、自動ピッキングや自動梱包などの最新技術を導入し、オンライン販売に対応。また、新たな顧客との接点の場として、従来の郊外型店舗ではなく「シティ・ショップ」と称した都心型店舗を開店した(日本では新宿・渋谷・原宿の3店舗)。加えて、モバイルアプリを併用することによる店舗での買い物体験向上などといった数々の施策を実践している。

イケア・ジャパン 代表取締役社長 兼 CSO ペトラ・ファーレ氏
イケア・ジャパン 代表取締役社長 兼 CSO
ペトラ・ファーレ氏

 スピーディな変革を達成できた要因として、ファーレ氏は「協力と協調」を挙げた。運送業者やサービス・プロバイダーも含めた、バリューチェーン全体での協力・協調が変革を後押ししたのだという。

鉄道起点から“ヒト起点”へ。JR東日本の挑戦

 次に話すのは、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)の深澤祐二氏。同社は現在、「輸送サービス・ITサービス・生活サービスの融合」を注力テーマとしている。以前から将来の人口減をにらみ、鉄道起点のサービスから“ヒト起点”のサービスへと移行する計画を立ててはいたが、鉄道事業の収益が大幅減となったコロナ禍をきっかけに、一層スピードを上げて生活サービス事業の割合を高めようとしている。

 具体的には、人々の1日の行動やライフステージに合わせたサービスを提供し、それらを約9,560万枚発行しているSuicaのデータを使って結びつけていこうという戦略だ。それを体現した取り組みの1つが、2024年開始予定の「JRE BANK」である。同社のポイントサービス「JRE POINT」の残高に応じた特典の付与など、人々の生活に密着したサービスになる予定だという。また、Suicaとマイナンバーカードを連携させ、地方自治体の公共サービスを利用できる仕組みも、各自治体や経済産業省と協力して拡大を図っている。

 また、既存の鉄道領域でも、駅や新幹線といった既存インフラの旅客輸送以外への活用や、運転・車両メンテナンスの自動化による人手不足への対応、2050年度のCO2排出量実質ゼロに向けた自然由来エネルギーや水素電車の開発など、大規模な挑戦に取り組んでいるという。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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