進化するデザイン思考は「戦略デザイン」と「チェンジマネジメント」へ
「デザイン思考(Design Thinking)」とは非デザイナーがユニークな視点で問題を捉え解決するための、人間中心デザインに基づいたイノベーションを起こすための発想法である。佐宗氏は自身のデザイン思考によるアプローチを「創造的問題解決」と呼んでいる。
共創型イノベーションプロデュース集団biotopeの代表である彼が目指す「イノベーションプロデューサー」とは、ビジネス、デザイン、チェンジマネジメントの3つを軸に、コンサルティング、「場」のマネジメント、現場視点からイノベーションを起こす仕組みを作る、3つの役割をこなす「イノベーションの仕掛け人」だと、佐宗氏は語る。
佐宗氏は今回の著書の他に、自らの留学経験を綴ったブログやワークショップの開催などを通じて、デザイン思考を多くの人に広める試みを続けている。
デザイン思考の進化
海外ではデザイン思考と都市デザインや脳科学、心理学など異分野との統合・交配が起きており、研究が進められ、今も進化し続けているという。Biz/Zineでの連載「Design x Management=Innovation」では、早稲田大学ビジネススクールの入山准教授と共同で、「デザイン思考」と「経営学」が交差するテーマから得られた知見を、海外の識者などとの鼎談を通じて、イノベーションの体系化を模索する試みを続けている。
佐宗氏の講演の前半では、2015年9月に発売されたHarvard Business Review(以下、HBR)でのデザイン思考に関する特集「The Evolution of Design Thinking」に関して触れ、「企業におけるデザイン思考」は、商品デザインから経営層のための戦略デザインとチェンジマネジメントのツールとして用いられるようになっている、という特集の大きな方向性を紹介した。
この特集では、
- 「経営」と「デザイン」の融合
- 組織マネジメントのためのデザイン思考
- サービスデザインからシステムデザインへ:「Intervention Design」
などのトピックが解説されており、デザイン思考はますますその対象とする幅が広がっているという。佐宗氏はHBRで語られた最先端の潮流を、どのように日本で実践し取り入れていくかを模索しているという。