SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

Biz/Zineニュース

富士通、量子回路計算を200倍高速化する技術を開発 量子コンピュータの材料開発への応用など期待

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket

 富士通は、量子シミュレータ上で、量子コンピュータの初期の使用方法として提案されている量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを、従来のシミュレーション所要時間と比較して200倍高速に実行できる技術を開発した。

 同技術では、パラメータを微小変更した量子回路それぞれが互いに影響を及ぼすことなく実行できることに着目し、量子シミュレータの計算ノードを複数のグループに分割。RPCの技術を活用し、ネットワークを通して量子回路計算のジョブを投入することで、各グループが異なる量子回路を実行できる分散処理技術を開発した。この技術を用い、パラメータの異なる複数の量子回路を同時に分散実行して最適化することを実現し、計算時間を70分の1に短縮することが可能になったという。

 また、量子・古典ハイブリッドアルゴリズムにおける計算量は、解きたい問題における式の項数に比例し、その項数は一般的なVQEでは量子ビット数の4乗となるため、問題規模が大きくなると計算量が増大し、現実的な時間で結果を得ることができなくなるとのこと。同社は40量子ビットの量子シミュレータの内32量子ビットを活用した規模の大きい分子のシミュレーションを通して、規模が大きくなるほど項の総数に対する係数の小さい項の割合が多くなること、かつ係数の小さい項が計算の最終結果に与える影響も微小であることを発見した。この特性を利用し、式の項数の削減と計算精度の劣化防止を両立させることを実現し、量子回路計算時間を約80%削減できたとしている。

最適化のための量子回路計算の処理フロー<br/>[画像クリックで拡大表示]
最適化のための量子回路計算の処理フロー
[画像クリックで拡大表示]
問題の規模による式の係数値の度数分布の違い<br/>[画像クリックで拡大表示]
問題の規模による式の係数値の度数分布の違い
[画像クリックで拡大表示]

 これら2つの技術を組み合わせることで、32量子ビットの問題に対して1,024の計算ノードを8つのグループに分割して分散処理した際、従来では200日と見積もられていた32量子ビットの量子シミュレーションの実行時間を、1日で実現可能なことを確認。これにより量子ビット数の大きい問題に対する量子アルゴリズムの開発が進み、量子コンピュータの材料・金融の分野への応用が進むことが期待されるという。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
関連リンク
この記事の著者

BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング