「私は誰か」を意識することがエフェクチュエーションの起点
吉田:「アーモンド効果」の事例で印象的なのは、自社の「私たちは誰か」に関わる歴史を新商品開発の手段として用いる一方で、それが社内の共感やコミットメントを得る「クレイジーキルト」の形成においても効果的に機能していることです。エフェクチュエーションは起業家から発見された抽象的な思考法であり、既存組織でどのように使えばよいか分からないと言われることが多いため、実務で実践している事例に出会えるのは嬉しい限りです。
木村:エフェクチュエーションが特に使える場面は「暗黙知の深化」だと思います。エフェクチュエーション的な思考で個人や組織のなかの暗黙知を深め、それを形式知に転換する際にコーゼーション的な論理的思考を使う。ただ、こうした使い分けは、実は多くの企業ですでに実践されているものだと思います。