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ネスカフェ アンバサダーに学ぶ、既存ブランドを生かしたエフェクチュエーション──手中の鳥と新結合とは

【前編】ゲスト:ネスレ日本株式会社 常務執行役員 島川基氏

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 今回は『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』(ダイヤモンド社)の共著者で神戸大学大学院准教授の吉田満梨氏がホストとなり、ネスレ日本株式会社の島川基氏(常務執行役員、デジタル&Eコマース本部長 兼 デジタル&Eコマース本部新規ビジネス開発部長)に、グローバルな大企業におけるエフェクチュエーションの実践について聞いた。前編では、島川氏のキャリアやネスレでのイノベーション活動とエフェクチュエーションの関係性に迫る。

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「ネスカフェ」ブランドのビジネス統括、スイス本社を経てデジタル・Eコマース担当に

──今回は大企業においてエフェクチュエーションは可能なのかという問いをもってネスレさんの実践をお伺いできればと考えています。まずは島川さんのこれまでの取り組みと、現在のお仕事についてお聞きできますか。

島川基氏(以下、敬称略):新卒でネスレ日本に入り、営業からキャリアをスタートしました。営業を2〜3年、営業企画を3〜4年やった後に飲料事業本部に移り、そこで「ネスカフェ」のブランドマーケティングを9年間やりました。

 ブランドマーケティングといっても、ネスレの場合は領域がとても広いんです。事業の損益を管理しながら、原材料の調達から製造、販売、広報にデジタルなど全ての戦略作りや仕組みづくりを担います。

 9年間のうち最後の3〜4年は、「ネスカフェ」を使ったコーヒーマシンのシステムの全体も見ていました。IoTのコーヒーマシンを世界に先駆けて発売しましたので、その開発から担当したんです。ですので、消費財メーカーにいながらテクノロジーと向き合うということを比較的やってきたほうだと思います。

 2020年初頭から2021年末まではスイス本社に行き、ゾーンAOAと呼ばれるアジア、オセアニア、アフリカ地域の中に何十とあるマーケットごとの経営企画を支援しました。

 その後2022年に日本に戻り、デジタル&Eコマース本部の本部長に任じられました。それまではEコマース本部というのがありましたが、Eコマースだけだと売るための話にしかならず、組織がサイロ化しがちなんですね。今や顧客体験にデジタルは欠かせないもので、Eコマースはその一部でしかない。そんな意味をこめて名前に「デジタル」を入れさせてもらいました。顧客体験に特化したチームとデータに特化したチームが全社の支援を行う体制になっています。

 2023年6月からは新規ビジネス開発部長も兼任しています。いわゆる技術のシーズを見つけたりそれに投資したりといった形で、幅広く新たなビジネスを探索していく部門です。

 そして2024年4月には、全社のDXも担うことになりました。デジタル&Eコマース本部でやっていることと近いのですが、いわゆるマーケティングや顧客視点のデジタル化といった領域を超え、ファクトリーオートメーションやサプライチェーンなども含む全社のDXを引っ張っていくために、いまチーム作りをしているところです。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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