iPhoneは加速するIoTに技術的土台を提供した
「2007年はハードウェアのルネッサンスの時代でした。」クリス・アンダーソン氏は、来るべき時代の幕開けとして、そう振り返る。2007年にはiPhoneや3Dプリンターといったハードウェアが誕生した。
3Dプリンターはプロトタイピングのあり方を変えた。現在では、プラスチック、木、金属、それらをインクとして射出成型することができる。だから、どんなに複雑な製品や部品でも、デスクトップ一台あれば、欲しいものが安価で簡単にすぐにできてしまう。
もし仮に製品が100個欲しいのなら、工場など作らずに3Dプリンターで作ってしまう方が低コストで済む。
また、iPhoneに使われているセンサー、プロセッサー、カメラなどのコンポーネント技術はスマートフォン業界に限らず、自動車やロボット工学などに応用されている。実際、アンダーソン氏がCEOを務める3Dロボティクス社のドローンもiPhoneで使用されている技術の延長線上にある。
ドローンはパッケージの違うスマートフォンです。我々はイノベーションとして有効利用しているわけです。スマートフォンと同じプロセサー、同じセンサー、ワイアレス技術を使って、それらを、飛行する物体にしているわけです。
iPhoneは加速するIoTに技術的土台を提供したのだ。
これらのハードウェアが可能にしたデスクトップマニファクチャリングは、今まで以上にイノベーションを必要とする段階にきている。新しい製造の形は、資本主義の「競争の形」も新しくしようとしている。