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生成AIは「サービスデザイン」をどう変えるのか──活用形態の4つの型、アイデア検討の3ステップとは?

第3回

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 生成AIの登場によりビジネスの様々な領域で革新的な変化が起きています。特に近年、そのアプローチが成熟してきた新規事業開発の分野でも、生成AIの活用が大きな可能性を秘めています。本連載では「生成AI×事業開発」についてあらゆる角度からその可能性を紐解いていきます。第三弾となる本稿では、株式会社NEWh(ニュー)で大企業の新規事業・サービス開発の支援を行うとともに、NEWh内の生成AI×事業開発に特化した専門組織「AI Innovation Node」で生成AIを活用した革新的な事業開発メソッドの開発に取り組むService Designerの古川亮太朗が、生成AIを導入したサービスアイデアを検討するための視点とサービスアイデアの創出方法について解説します。

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生成AI活用の4つの型とは

 生成AIは登場以来「生成AIが新たな産業革命を引き起こす」と言われるほど、社会や経済に対して大きな影響を与える可能性が予想されています。過去にインターネットやスマートフォンの登場・普及によって我々の生活や経済活動を大きく変化させ、ほとんどのサービスでそれらが不可欠になったことと同様に、生成AIもこれからの未来においては多くの事業やサービスに組み込まれるようになるでしょう。

 また、生成AIという革新的な技術の登場によって、従来では解決が困難であった顧客課題に対する新たなソリューションと顧客体験創出の機運も高まっています。

 今回は、生成AIが我々人間をどのようにサポートしてくれるのかをNEWhが独自に整理・分類した「生成AI活用の型」と、それを活用したサービスアイデア創出の手法を紹介します。今後、生成AIによって大きく変化する社会や経済において、生成AIを通じた新たな価値の創出をする手助けとなると幸いです。

 生成AIは、文章の要約から精微なシミュレーションを用いた新薬の開発支援まで、様々な用途で簡易なタスクから複雑なタスクまで様々なシーンで我々の活動をサポートしてくれます。従来とは異なる、新たな顧客体験の創出には生成AIはどのように我々、ヒトの活動をサポートし、価値を提供してくれるのかを理解する必要があります。

 これからご紹介する「生成AI活用の型」では、生成AIがヒトの活動をサポートする形態で4つに分類し、生成AI時代における新たな顧客体験からサービスアイデアを検討するための視点を解説します。

生成AI活用の型
クリックすると拡大します

 1つ目の活用形態は、生成AIが人間に代わって定型的な作業を完全自動で実行する、「ヒトの代替」です。ヒトの代替の例としては下記が挙げられます。

  • 簡単な質問にチャットで応答するといった、ユーザーの質問に対する自律的な回答
  • あらかじめセットされた答えを参照して回答するFAQの自動回答ボット等の、特定のルールやフォーマットに基づく作業の実行
  • レポート・記事の要約や定量データの分類を自動化する、入力データの変換/分類作業の実行

 2つ目は生成AIが人間の一部作業を代替し、作業効率化や意思決定速度の向上に寄与する、「ヒトの支援」です。ヒトの支援の例としては以下の2つが挙げられます。

  • 新規事業に関わるデスクリサーチの実行といった、定義された条件での調査/まとめ
  • アイデア発想や入力されたユーザーの要望からプロンプトを作成するといった、定義された条件でのたたき台の作成

 3つ目の活用形態は、これまでは専門家に依頼しなければ実行できなかった専門性の高い作業を、生成AIがユーザーの指示に基づき実行する「ヒトの強化」です。リーガルチェックの代行や動画・画像の生成といった、これまでは一部の人のみ実行が可能だった専門知識やスキルの提供が挙げられます。

 最後の活用形態は、人間の能力や肉体では実行不可能な作業を生成AIが実行する、「ヒトの超越」です。

  • 誰しもが持っているバイアスを排除して思考する、思考の限界突破
  • (冒頭で例に挙げた)精微なシミュレーションを用いた新薬の開発支援など、大規模/複雑なデータのインプット・処理
  • 24時間連続で作業しつづける著名人や故人をデジタル上で再現するといった、人間の身体の限界を超えた作業

これら3点が例として挙げられます。

 次項では、具体的な事例を交えながら、「生成AI活用の型」を用いたサービスアイデアの検討手法についてご紹介します。

次のページ
サービスアイデアの検討を「生成AI活用の型」を用いて行う

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この記事の著者

古川 亮太朗(フルカワ リョウタロウ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

AI Innovation Node(エーアイ イノベーション ノード)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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