原因と結果の因果関係の立証こそが基本姿勢
篠原:今回のジェフの講演でも、この歴史にさかのぼって現況を捉えていこう、といった姿勢を強く感じました。たとえば、来日最初の講演「ユーザーエクスペリエンスの定量化:メソッド、ROI、そして NPS(Measuring The User Experience: Methods, ROI & NPS)」では、その冒頭で歴史上の出来事を引用しながら、UXメトリクスを測定してその先の活動につなげるプロセスのポイントを強調しましたね。
ジェフ:はい。そこでは、「調査したい事象や要因を数値化し、その因果関係を実証する」ということこそが重要である起源として、19世紀の医療分野における当時の医者と患者との関係が、現代の「UX専門家とインターフェース」との関係に当てはまるのです。19世紀に、ピエール・シャルル・ルイ博士は、それまで治療法として信じられていた「瀉血(しゃけつ)法」といって、人体の血液を外部に排出させることで症状の改善を求める、という方法の無効性を、数値的な手法を使って証明しました。博士は、根気強い計量と解析を続けることで、その無効性を実証したのです。すなわち、医師が行った処置が本当に正しいかどうか、を検証するためには、処方や処置の内容を定量化して、時系列に沿って経過を観察する、ということが欠かせなかったのです。