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富士通が中心でなくていい。FUJI HACKが目指す大企業連携によるイノベーション創出

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他社のノウハウと姿勢が刺激に。参加者たちのリアルな声

──FUJI HACKの参加者構成を教えてください。

吉越:特徴的なのは、毎回約8割が新規参加者であることです。メンバーが固定化されるとどうしてもマンネリ化してしまうため、現状の割合は理想的だといえます。

殿村:参加者の職種も、徐々に広がっています。当初はエンジニアが主体でしたが、最近では生成AIを活用した開発が可能になったこともあり、営業やコーポレート部門など非エンジニア職種の割合が高くなっています。

──参加者からは、どのような反響がありますか。

殿村:社内では、営業職から「FUJI HACKの取り組みを紹介することで、普段なかなか接触できないお客様の部門や職種の方と接点ができる」という喜びの声が届いています。

吉越:社外からは、「こうした場は意外となかった」という評価をいただくことが多いです。産官学の連携や、大企業とスタートアップのオープンイノベーションは一般的ですが、大企業同士の掛け合わせは珍しい。エンジニア特化型のハッカソンはあっても、職種を超えたイベントは少ないですし、自治体主催のフォーマルなアイデアソンなどはあっても、カジュアルに課題解決に取り組める場はなかったということでしょう。

 大企業の多職種の方に気軽に参加してもらえているのは、「NDA(秘密保持契約)不要」という立て付けのおかげかもしれません。2025年7月のFUJI HACKは、大阪のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」で開催したのですが、同施設を運営する市橋直樹氏の「NDAを必要としないギバーのコミュニティをめざしている」という言葉に感銘を受け、FUJI HACKもその方針で運営しています。

 6月19日、30日に「地球を丸ごとDigital Twin」をテーマに開催した回への参加者からいただいた感想を一部ご紹介します。

参加者の声

「生成AIを活用した新規事業開発の手法とネットワーク構築を目的に参加しました。企業ごとにアプローチが異なり、特に富士通さんの「社会課題を起点にする」姿勢は新鮮でした。今後はイベントで得た知見を社内に展開しつつ、ここで知り合った仲間にも相談していきたいです」(住友商事株式会社 坂本大氏)

「自社だけでの新規事業開発に限界を感じ、他社のノウハウ取得のために参加しました。文化の異なるメンバーとの協業から多くを学び、特に富士通の「未来からバックキャスティングで事業を考える」アプローチは自社に不足していると実感しました。この手法を自社の事業創出に活かしたいです」(川崎重工業株式会社 牧澤遼氏)

「当初は敷居が高い印象でしたが、実際は『やってみたい』という気持ちで気軽に挑戦できる場でした。純粋に課題から解決策を模索するプロセスで達成感を得られ、『挑戦したい』ともがく姿勢は他社参加者も同じだと気づき勇気づけられました。今後も互いに支え合っていきたいです」(富士通株式会社 戸田綾穂氏)

東京も大阪も大盛況。熱気でわかった共創ニーズ

──一方、企画運営としては、どのような手応えを得ていますか。

吉越:6月の回では、平日丸2日かかるプログラムにもかかわらず、約80名が参加してくださり、FUJI HACKへの関心の高さを実感しました。1日目と2日目の間の約10日間も、各チームがSlackで自発的に交流し、チームビルディングが進んだ印象です。

6月30日 FUJI HACK参加者、スタッフ集合写真
FUJI HACK参加者、スタッフ集合写真(6月30日)

殿村:各チームのコミュニケーションが盛り上がったのは、自分でテーマとチームを選んだという当事者意識があったからかもしれません。最初からチームを作るのではなく、テーマを検討してからチームを組むという手法を採用したためです。

 一方、7月の大阪開催では、1日完結にしたことで参加のハードルが下がり、中国地方や中部地方からもご参加いただけました。

吉越:参加者は70名ほどでした。開催場所となった「QUINTBRIDGE」は、年間400回以上のイベントやワークショップを開いている共創施設ですが、その担当者も「ここまで多くの参加者が集まるワークショップイベントは久しぶり」と驚いていました。大企業同士の新規事業創出が、地域を問わず求められていることを実感しましたね。

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新たな課題と試行錯誤による進化

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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