2025年10月15日、ギックスとトヨタモビリティパーツは、共同開発した「AI整備見積りシステム」に関する特許を取得したと発表した。本システムは、2024年3月よりトヨタモビリティ新大阪で導入し、順次トヨタ販売店に提供している。
自動車整備業界では、ハイブリッド車や電気自動車、先進安全技術搭載車の普及により整備作業が高度化している。一方で整備要員の有効求人倍率は4.99倍と、全職種平均の1.17倍を大きく上回り人材不足が深刻であった。こうした課題に対応するため、トヨタモビリティパーツ大阪支社は2020年からギックスをデータ基盤・AI開発パートナーとして迎え、さらに販売店の協力を得て、約21万台・1,350,000件の点検データをAIで解析し実証実験を行った。その結果、現場で活用可能な「AI整備見積りシステム」として完成し、2024年3月より本格的な提供を開始した。
「AI整備見積りシステム」は、車両の年式や走行距離などを入力するだけで、AIが約80項目の整備内容を診断し、部品交換や整備の必要性を示す「AI診断書」をスタッフ・顧客向けに出力できる機能を持つ。これにより、整備士の主観やスキルによるバラツキが抑えられ、均一な整備見積り算出が可能となった。また、スタッフ向け診断書には整備履歴を含む詳細情報を網羅し顧客説明や提案業務を支援する。顧客向け診断書は専門知識がなくても分かる表現で整備内容を説明し、顧客理解を助ける。


本システムの導入により、現場の業務負荷軽減と車両点検作業の効率化が進み、データに基づく提案や見積りが車両入庫前から可能となっている。
本特許の概要は、発明名称「情報処理方法、モデルの生成方法、コンピュータプログラム、及び情報処理装置」として2023年6月30日に出願、2025年8月5日に登録された。ギックスとトヨタモビリティパーツは今後も、現場起点でのサービスづくりと更なるデータ活用、新機能開発を進めるとしている。
【関連記事】
・日立、AIエージェントの導入・運用を伴走型で支援する「HARC for AI」を提供開始
・NEC、富士フイルムに向けAIを活用したデジタルカメラのアフターパーツ需要予測ツールを構築
・NEC、AIを活用した事業企画書の診断サービスの有償PoCを開始 事業開発DXを加速