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「破壊的イノベーション」を実務で使える理論にする、4つのポイントとは?

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 『イノベーションのジレンマ』で知られるクレイトン・クリステンセン教授が来日講演で語ったのは3つの理論だった。その理論とは「破壊的イノベーション理論」、「Jobs-to-be-done(ジョブ)理論」そして「資本家のジレンマ」についてである。起業した経験を持つクリステンセン氏は、経営理論は「活用されるため」に存在すると断言し、自身の理論をもっと役立つものへと進化させてきた。この記事では「破壊的イノベーション理論」を中心に、意義と活用方法をなるべく簡単に紹介しよう。

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「経営理論」は何のためにあるのか?

 「破壊的イノベーションは最近誤用が多い」と、クリステンセン教授は言う。なぜ彼は警鐘を鳴らすのだろうか。1995年に教授がこの言葉を導入したことを考えれば、多用されるほど概念が普及し、彼の理論が世の中に受け入れられたことは嘆くようなことではないはずなのだが…。

 先日の講演では、3,000人もの熱気ある観衆を集めた会場で「経営理論はしばしば非実用的だと非難されている」と切り出した。しかし、理論とは意図した結果を得るために、誰もが用いる因果のモデルと捉えると、いかなる経営者もよい結果を出すため “貪欲に“経営理論を操っているのが現状だと論じた。意識しているかどうかは別にして、経営判断は経営者の持つ「理論」に基づいて行われるという考え方だ。したがって、優れた戦略を立てるためには、状況に応じた適切な理論を用いていくことが求められる。そのように実務家に役立つ示唆を提供するのがクリステンセンの言う「理論」なのである。理論をむやみに当てはめ、どのようなイノベーションも「破壊的」だとしてしまうと、「使えない」理論となってしまうことを危惧している。例として、UBERは破壊的イノベーションの特徴を持っていないため、今後の道筋は予測ができないと最近のHBR記事で書いている。

HBR記事: “What Is Disruptive Innovation?”
https://hbr.org/2015/12/what-is-disruptive-innovation

 では、何のために破壊的イノベーション理論は存在するのだろうか。破壊的イノベーション理論は、「競争反応 (Competitive Response)」を予測するために使えるとしている。新しい技術やビジネスモデルを提げて参入してくるベンチャーにどう対処したらよいか、もしくは新しいビジネスの競争相手を失意させ、自社が成功する上で不可欠な理論だと筆者は考えている。

 アメリカの自動車会社は、日本製の安い小型自動車が参入してきた1960年代に、日本車を脅威だとはとらえずに、似たような小型車を作ることをしなかった。日本の自動車メーカーにとってみれば競合のいない環境で、ゆっくりと市場を開拓することができたのだ。当時のトヨタ車は今のように品質が評価されていたというよりも、大学生にも買えるような価格で、それまでは自動車を買えなかった層を顧客として発掘することで伸びていった。アメリカの自動車会社は小型車を作ることができなかったのではなく、利益率が下がるような製品を開発する動機が生じなかったのだ。利益率が低いながらも確実に成長する市場を獲得すると、次第に日本メーカーも「持続的なイノベーション」によって技術力を高め、アメリカ車が得意としていたハイエンド市場を奪ったのである。先日の講演においてクリステンセンは、ホンダのスーパーカブやキヤノンの小型プリンターなどの事例を挙げ、かつて日本企業が、はるかに能力や資源で及ばないアメリカの巨大企業を苦しめていったかを語ってくれた。

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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