2025年12月11日、アドビはChatGPTユーザー向けにAdobe Photoshop、Adobe Express、Adobe Acrobatの提供を開始した。これにより、ChatGPTの8億人の週刊利用者が対話型インターフェース上でアドビの主要クリエイティブ・生産性向上アプリを利用できるようになる。ChatGPT向けのアドビアプリは、同社のエージェント型AIやModel Context Protocol（MCP）を基盤としている。

　ユーザーはChatGPTで会話するだけで、アドビの各種機能を活用できる。たとえば画像の背景をぼかしたい場合、ChatGPTで「Adobe Photoshop、この画像の背景をぼかす」と入力すれば、ChatGPTがアプリを起動し、文脈を理解して処理を実行する。これにより、専門知識がない人でも直感的に高度なクリエイティブ作業が行えるようになった。

　具体的には、Photoshopでオブジェクトの編集や明るさ・コントラストといった画像設定の調整、Expressでテンプレートを活用したデザイン作成やアニメーション化、AcrobatでPDFの編集や変換、テキスト抽出、ファイル統合・圧縮が可能である。各アプリの主要機能をChatGPTのチャット内でシームレスに実行できる環境が実現した。

　また、アドビはAIアシスタントの機能拡充にも注力している。今後は複数のアプリケーションを横断してクリエイターの作業効率を高める「Adobe Firefly向けAIアシスタント」なども予定されている。

　今回のリリースにより、アドビは自社アプリの使用経験がない層や新規利用者にもリーチを広げる。ChatGPT上で直感的なチャット操作だけで編集作業ができるため、クリエイティブの民主化が進展すると見込まれる。一方で、従来通りPhotoshop等アプリの高機能を求めるユーザーは、ChatGPTから直接アドビの各アプリに移行して作業を継続することも可能だ。

　ChatGPT向けのAdobe Photoshop、Adobe Express、Adobe Acrobatは、全世界のChatGPTのデスクトップ・ウェブ版・iOS版で本日より無料で利用できる。Adobe ExpressはAndroid版でも利用可能、PhotoshopおよびAcrobatのAndroid版は今後提供予定となっている。

　本リリースはアドビの継続的なAI・対話型体験への投資と位置付けられ、今後もプラットフォーム横断的なイノベーションが期待される。

【関連記事】
・三菱UFJ銀行、OpenAIと戦略的提携　全行員にChatGPT Enterprise導入へ
・アドビ、AIを活用したプラットフォーム「Acrobat Studio」日本語版の提供を開始
・アドビ、顧客体験・マーケティングのワークフローに10種類の専用AIエージェントで統合する新製品を発表