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CVCの常識、非常識

CVCの「常識」を疑え、ソニー流・投資の流儀──事業部コラボ案件は「財務リターン2倍以上」という必然

ゲスト:ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 波多野和人氏

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 日本を代表するグローバル企業、ソニー。その成長を支える中核戦略の一つが、スタートアップへの投資活動だ。2016年に始動した「ソニーイノベーションファンド(SIF)」は、現在ソニーベンチャーズ(以下、SV)が運営し、世界各地で革新的なテクノロジーやビジネスモデルへの投資を展開している。その舵取りを担うのが、ソニーグループ在籍28年のキャリアを持ち、財務から経営企画、海外拠点のマネジメントまでを歴任してきた波多野和人氏だ。投資と事業の「二極化」に悩むCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が多い中、同社はいかにして財務リターンと戦略リターンの高度な両立を実現しているのか。また、大企業の中から新たな産業を生み出す「スピンアウト支援」の真意とは。Third Ecosystem 代表取締役CEOの小宮昌人氏が、波多野氏の投資哲学と、SVが体現する「エコシステムの未来」について迫った。

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財務・経営の最前線を渡り歩いた28年の軌跡

小宮昌人氏(以下、小宮):本日は波多野さんのこれまでのご経歴と、現在のソニーベンチャーズの組織体制、そして投資戦略を伺えればと思います。まずは自己紹介からお願いします。

波多野和人氏(以下、波多野):私は1997年にソニーの財務部に入社しました。財務部ではM&Aやグループ会社のサポート、為替・資金のディーラー業務など、まさに「ファイナンスの最前線」でキャリアをスタートさせました。大きな転機となったのは2002年、当時のバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック)のサンフランシスコ拠点へ運用実務の研修に行ったことです。その後、ロンドンのソニーグローバルトレジャリーサービシーズでマネージングディレクターを務めるなど、グローバルな資金運用の経験を積みました。

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ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長/ソニーグループ株式会社 事業開発プラットフォーム インベストメントマネジメント部門 部門長 波多野和人(はだのかずひと)氏
1997年ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社。財務部にてM&Aや資金運用を経験後、サンフランシスコのバークレイズ・グローバル・インベスターズでの研修やロンドン駐在を歴任。ソニーモバイルコミュニケーションズやソニーネットワークコミュニケーションズでの経営企画・ビジネスインキュベーションを経て現職。中長期的な経営戦略策定、戦略的パートナーシップ、投資マネジメントの専門性を有する。東京理科大学大学院 工学研究科 経営工学専攻 修士課程修了。

小宮:財務のプロフェッショナルとして歩まれた後、事業側へも深く関わっていますね。

波多野:はい。帰国後はソニーモバイルコミュニケーションズやソニーネットワークコミュニケーションズで経営企画やビジネスインキュベーションを担当しました。2024年1月にソニーベンチャーズの代表取締役社長に就任し、現在はソニーグループの「インベストメントマネジメント部門」および「先端インフラ事業探索部門」の部門長なども兼務しており、スタートアップ投資から戦略的スピンアウト支援、さらにはWeb3やローカル5Gといった先端インフラ事業の探索まで、広範な領域を管轄しています。

「ソニーイノベーションファンド」が描くグローバル投資戦略

小宮:投資母体である「ソニーイノベーションファンド(SIF)」の成り立ちと現在の規模を教えてください。

波多野:SIFは2016年、当時の十時(現・ソニーグループ 代表執行役 社長 CEO 十時裕樹氏)や御供(現・ソニーグループ 代表執行役 CSO 御供俊元氏)らが中心となり、本社と一体となった投資体制として発足しました。当初はソニー本体のバランスシートから投資する「SIF1」から始まりましたが、現在は外部投資家(LP)から資金を募る「GP/LP構造[1]」のファンドを主軸としています。現在の総運用資産残高(AUM)は650億円を超えています。

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資料提供:ソニーベンチャーズ株式会社/クリックすると拡大します

小宮:世界各地に拠点を持たれていますが、どのような体制で運営されているのでしょうか。

波多野:私たちは「SIFメンバーが現地にいないと投資しない」というこだわりを持っています。現在は東京、ベイエリア、ロサンゼルス、ロンドン、テルアビブ、ムンバイ、バンガロール、ナイロビに人材を配置し、現地の起業家と直接向き合っています。特徴的なのは、地域間の壁を取り払った「グローバルワンチーム」の体制です。主要拠点間で人材を積極的にローテーションさせ、投資哲学を共有することで、地域ごとに分断されないシームレスな投資活動を実現しています。


[1]GP/LP構造:GP(ゼネラル・パートナー)が無限責任を負い運用を行い、LP(リミテッド・パートナー)が有限責任で出資する形態。

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シナジーが財務リターンを2倍に引き上げる

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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