シミュレーション-オプションの選択を可能に!
手作業では、一つの案を作り上げるので精いっぱいで、他の案(選択肢)は無いのか、他にもシナリオがありうるのではないか、というシミュレーションまで手が回らないことがあります。しかし、ビジネスシミュレーションソフトの登場によって、What-If(もしも)分析・感度分析・リスク分析といったシミュレーションが簡単にできるようになり、ビジネスシミュレーションの利用シーンが増えてきました。
この連載では、個別の戦略投資におけるビジネスシミュレーションの事例だけでなく、戦略投資を推進するために投資評価・意思決定の業務プロセスとして採用している企業の事例、また、重要なビジネススキルと位置付けて授業に採用している大学・ビジネススクールの事例もご紹介します。
戦略投資の検討現場では、実に多くの問題が起きています。ビジネスシミュレーションは、どのような問題解決に役立つ手段なのか、まずは主な問題を読者の皆さんと共有することから始めましょう。
戦略投資の課題1-収支計画の根拠があいまいになっている
これはよくある問題です。あいまい、というのは、立案者が複雑な要因を整理できていない状況ですが、説明不足という形で表面化します。現場で起きていることをもう少し正確に表現すると、立案者はしっかりと説明しているつもりでも、意思決定者としては「よくわからない」という状況です。
あいまいだと、いろいろなことが心配になって、身動きが取れなくなってしまいます。その結果、優れた戦略投資になる可能性がある案件でも、「よくわからない」からやめておこう、という残念な意思決定になりがちです。意思決定者にとって「よくわからない」という状況は、必ず解決しなければならない問題です。