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脱レッドオーシャン!コア・コンピタンスの発見

第10回

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創業時の想いを忘れない

「コア・コンピタンス」を見つけるための3つのステップ

人は何かひとつくらい誇れるものを持っている。何でもいい、それを見つけなさい。(北野武)

 コア・コンピタンスはバランス・シートに載っているわけではないし、誰かに教えてもらうものでもありません。多くの起業家は創業時に、「自分は何がしたいのか、何ができるのか」を考えますが、企業が大きくなってくるとそれを見失ってしまう傾向にあります。ここでは、自社のコア・コンピタンスを見つけ、それを評価するためのステップをご紹介します。

1.コンピタンスではないものを理解する

 コンピタンスを明確にするためには、まずはコンピタンスでないものを理解する必要があります。価値提案を構成する最終的なプロダクトやサービスはコンピタンスではありません。コンピタンスは、価値提案の拠り所となるものです。それはブランドや特許といったものでもありません。コンピタンスはそれらを生成もしくは活用する能力です。

2.コンピタンスを分類する

コンピタンスのタイプ 図表6. コンピタンスのタイプ とはいっても、まだ分かりにくいかもしれません。そこで、「コンピタンスの典型的な5つのタイプ」をご説明していきます。これらに相当もしくは類似するものがあれば、思いつくままにリストアップしていきましょう(図表6)。

1:コスト効率

 コスト効率の能力は、ローコストオペレーションを実現できる事業基盤をもっているかどうかに依存します。それは、情報システムや人間のスキル、それらを統制するための仕組みから構成されているものです。ウォルマートやファースト・リテイリングが提供している価値提案の多くはこのコンピタンスに基礎を置くものです。

2:信頼できるシステム

 ここでいうシステムとは、情報システムだけでなく、価値を生成するための事業インフラを含みます。信頼できるシステムは、顧客が期待する価値提案を均質かつ首尾一貫して提供することを可能にします。マクドナルドは世界中でビジネス展開していますが、どの地域に店舗を構えようが、安定したオペレーションを迅速に確立できる能力をもっています。

3:イノベーション

 このコンピタンスを持つ企業は、顧客ニーズの理解をとおして常にイノベーションを推し進めていく組織文化を持ち合わせています。3MやGoogleは、従業員に一定の時間をイノベーションのための活動に当てるように指導しています。

4:緊密な外部リレーションシップ

 顧客、サプライヤー、パートナー、規制当局などとの緊密なリレーションシップを構築、維持する能力は様々な利点をもたらします。顧客との緊密性は、顧客ニーズに応じたプロダクトやサービスの組合せやカスタマイズができる能力を提供します。TSUTAYAを経営するカルチュア・コンピニエンス・クラブは、顧客洞察力を武器にTポイントカードを通じ、様々な企業とのパートナーシップを推進しています。

5:アジリティ

 スピードは、現代ビジネスにとっても最も重要視されるコンピタンスです。これを実現する唯一の方法は、価値生成のプロセシング時間を短縮することです。Dellの直販システムやFedExの翌日配送は、アジリティ(俊敏性)実現の良いお手本です。

 5つのコンピタンスのタイプは、排他的なものではありません。たとえば、P&Gの「コネクト&デベロップ」は、緊密な外部リレーションを通じたイノベーション(オープン・イノベーション)といえるでしょう。

次のページ
コンピタンスの「5つの基準」で評価する

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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