NTTは、2026年3月期の取り組みや中長期の成長戦略をまとめた「統合報告書 2026」を公開した。本報告書では、事業環境の変化を踏まえて実施した中期経営戦略の一部見直しを反映し、2030年度の目標達成に向けた道筋や、AI時代を支える技術基盤「AIOWN」をはじめとする具体的な成長戦略を開示している。

中期経営戦略の一部見直しと2030年度目標
NTTは「人々の豊かな暮らしと地球の未来への貢献(Innovating a Sustainable Future for People and Planet)」をありたい姿(NTT Group's Core)として掲げ、2030年度に向けた財務目標を以下のように再設定した。
- EBITDA(連結):4.0兆円
- ROIC(金融事業除き):5.5%
- 有利子負債/EBITDA倍率(金融事業除き):3.5倍程度
- 成長投資:約8兆円(2026~2030年度累計/バリュー分野中心)
従来は2027年度のEBITDA 4兆円達成を目指していたが、国内通信市場の成熟化やネットワーク品質向上に向けた投資前倒しなど、既存分野の環境変化を踏まえて達成時期を2030年度に見直した。
戦略の再編にあたり、従来の事業領域を「バリュー分野」と「コネクティビティ分野」に再定義。AIを軸に利益成長を加速させる「バリュー分野(EBITDA 2.3兆円)」と、AIネイティブなインフラへの転換を進める「コネクティビティ分野(EBITDA 1.7兆円)」を両輪とし、2030年度の目標達成を目指す。
成長を牽引する主要分野と取り組み
同社は、AIを軸とした事業構造改革を通じて、以下の重点領域における成長を加速させる。
- 国内法人ビジネスの拡大:AI導入によって創出されたNTTデータのリソースを、より幅広い顧客基盤を持つNTTドコモビジネスの顧客へと展開。コンサルティングからインフラまでフルスタックなAIビジネスを提供し、顧客提供価値起点のビジネスモデルへ転換する。
- 海外事業(ITサービス・データセンター)の成長加速: ITサービス事業では「NTT DATA AIVista」などを活用したAIビジネスやM&Aを推進。データセンター事業ではクラウド・AI推論領域にフォーカスし、ハイパースケーラー向けを中心に成長投資を推進する。
- 金融・パーソナルビジネスの強化: 2026年7月に設立した「NTTドコモ・フィナンシャルグループ」を中核に、決済と銀行を起点とした金融顧客基盤を拡大。約1.1億人のdポイント会員データとAIを掛け合わせ、パーソナルエージェントやマーケティングソリューションの競合力を高める。
AI時代を支える次世代インフラ「AIOWN」への進化
AIワークロードの急増やトークン量の爆発に伴う電力・計算資源の課題に対し、同社はあらゆるAIに効率的・効果的に対応するAIネイティブインフラ「AIOWN」を推進する。
- 省電力化(光電融合・液冷DC): 光電融合技術(PEC)の社会実装を進めるとともに、機器冷却の消費電力を30%~60%削減する液冷データセンターを展開。
- IOWN APNの面的拡大: All Photonics Network(APN)基盤を、2027年度までに全県庁所在地へ展開し、2030年に向けて全国への面的拡大を目指す。
- AIガバナンスと人材育成: 2026年4月に「責任あるAIの活用推進」をサステナビリティ憲章に反映。全社的なリスクマネジメント体制(Co-CAIO設置など)を構築するとともに、2027年度末までに中級以上のAI人材2.5万人の育成を目指す。
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